経済的に困難な家庭でも
気軽に進学の道を選択できる、
奨学金という制度。
利用者数は年々増加しているが、
その返済に困窮している人が
増加していると。
さて、その実態を見てみよう。
利用者数の推移
奨学金の利用者数の推移は、
冒頭でも話をしたように
増加の一途をたどっている。
今から10年くらい前には
受験対象者の約3〜4人に
一人の割合だった。
ところが、最新の利用者の
数は、対象者の2.6人に一人の
割合まで来ているらしい。
昨年度の実際の利用者数は、
約53万件。
金額にして、約3300億円。
1件あたりの利用額は2~3百万
程度と大きな額ではないが、
その返済は月に1.5万円程度で
14〜15年程度かかる。
確かに大学などの費用は
それなりにかかる。
4年制の大学で2〜400万円と、
決して安いものではない。
それでも、未だに大学に
進学することが将来の糧に
なるという風潮は消えていない。
親の立場としても、多少無理をしてでも
大学に進学させたい、と思う人が
多いのが実情だろう。
そして、言い方は悪いが簡単に
借りれる奨学金に手を出して、
子供を大学に進学させる。
奨学金を利用する際には、当然ながら
本人が返済していくことになる。
ところが、借り主の名義が未成年
なので、結局の借り主は親の名義
となり、本人が借りているという
自覚が薄いことも実情。
こうして、社会人となり返済が
スタートしてから生活が貧窮する
というケースが増加しているという。
月1.5万程度の返済で貧窮
奨学金関連の記事を目にすると
いつも思うのが、この返済の額。
月に1.5万円、そこまでの
大きな金額ではない。
しかし、実際にはこの金額すら
返済がままならないという
人が急増していると。
個人的に思ったのは、「バイトでも
してそのくらい稼げよ」「甘ったれる
んじゃねーよ」という感覚。
月10万の返済とかであれば
あー確かに大変だよねーと
共感できるのだが。
そんな感情を抱きながら
実際に返済困難に陥っている
奨学金利用者のニュース記事を見た。
結論はこうだ。
奨学金返済に加えて、様々な借金が
のしかかり、返済が困難になった。
奨学金返済に加えて、収入が減って
生活がままならなくなった。
そう、原因は奨学金ではない。
根本的な部分だ。
奨学金を借りていようがそうで
なかろうが、貧窮する人間は
貧窮しているという事実。
収入が減り、支出が増え、
追いつかなくなった末のこと。
奨学金が悪いわけではない。
致し方ない事情というが
ニュース記事を見ていると、
家庭の事情で致し方なく
給料の低い職場に移るしかなくなったと。
仕事上で出費がかさみ、
給料が上がっても貯金が出来ないと。
まぁ、致し方ない事情は誰にでも
存在するとは思うが。
給料が安ければ、給料が高い
職種に転職すればいい。
転職が無理なら、かけもちで
バイトでもすればいい。
仕事上の出費がかさむのなら、
その支出を減らせばいい。
当たり前のことだが、それが
出来ない状況だと実体験で
語られている。
果たして本当にそうだろうか。
実体験の記事を読んでいると、
え?じゃぁこうすればいいんじゃね?
と簡単に思うことがほとんど。
そこには、基本的に現状を変えたくない
という思いが表面化している。
今までどおりの住まいで、
今までどおりの交友関係で、
今までどおりの職種で。
現状を変えることには、
確かに大きな負担がのしかかる。
しかし、大きく環境を変えることが
必要なときは、誰でもやってくる。
単に、その覚悟がないだけと
第三者的な視点では思ってしまう。
なので、結論は奨学金が
悪いわけではない。
必ず一定数存在する、うまく生きて
いけない人がクローズアップされて
いるだけだと。
勝手な持論なので批判もあるし
反論もあるだろうが、世の中
そんなに甘くない。