オンキヨーの資本戦略。危機的状況の打破につながるのか。

音響老舗大手のオンキヨーが
資本戦略を発表した。

といって、今回は前から発行していた
新株予約権の扱いの修正。

この中身とその流れを
確認してみよう。

オンキヨー株式会社ってどんな会社?

「オンキヨー」と記載するが、
読み方は「オンキョー」となる。

会社名の通り、音響設備のメーカー
で、古くからの老舗メーカー。

元々の創業は、松下電器産業
(現パナソニック)の音響部門に
いた人間が作った会社。

こだわりを持った高付加価値商品を
世に送り出している。

メインの商材はスピーカーなど。
音質を気にする方には一目置かれる。

従業員数は1,600人くらい、
売上高は600億円前後。

しかし、経営は苦境に立たされている。
ここ数年は赤字が続いており、
債務超過も見えてきている。

そんな厳しい経営環境の中で、
命綱となってくるのが資本政策。

要は、回すお金をどうやって
集めるかがカギになっている。

新株予約権付き転換社債の発行

少し難しい言葉だが、上場企業が
資金調達をするための手段のひとつ。

簡単に言えば、大きくは社債と
呼ばれる第三者向けの借金なのだが、
株価が想定を上回れば、それが
株式になるという約束のもの。

基本は借金なので、お金を貸す側は
一定期間が経過すればお金が
戻ってくるというもの。

しかし、特別な条件をつけて
いるので、金利は無いに等しい。

その特別な条件が、株に変わる
というもの。

貸す側の視点で言えば、企業が
倒産しない限りは、貸したお金は
返ってくる。

そして、想定以上の株価になれば、
その時には決められた価格で株が
買えるので、利益が出せる。

企業が存続している、という前提だが、
ノーリスク・ハイリターンとなる。

お金を出す側は、儲かってもらって
株価が上昇してもらわないと利益が
出せない。

なので、経営細部にまで口を出し、
というか助ける形になる。

一方の借りる側は、発行した時点で
ある程度の資金調達が可能だが、
それはあくまで借入金。

借りたものは返す必要があり、
バランスシート上では「負債」となる。

だが、株式に転換されることで
「負債」ではなく「資本」に変わり、
返す必要のない資金となる、という仕組み。

そして今回の内容は、決められた
株価まで上昇しなさそうなので、
途中で約束の内容を変えます、というもの。

どんな内容に変える?なんで?

今回の発表では、株に
変換するための「新株予約権」という
権利部分を買い取ります、というもの。

この例は、あまりない。
通常で考えれば、負債ではなく
資本に組み込みたいはず。

まぁ、簡単に言えば借りたお金を
返さなくて良くなる方がいい。

なのに、その権利を自ら買い取り、
自社内で消却するというもの。

これには、いくつかの想定が
考えられる。

ひとつは、手持ちの資金が
増えたので、いまさら株に変えなくても
借りたお金は返します、というもの。

しかし、そんな状況であれば
株価は上がることが想定され、
第三者も合意はしないだろう。

そして、他の想定は、他で
資金調達の目処がたったので、
借りたお金を返します、というもの。

これは、まだあり得る。
協力関係にある会社から
資本の受け入れが決定したなど。

もちろん、株主の変動が
あるだろうが、より良い条件で
お金をだしてくれるところが
見つかった可能性はある。

最後にもうひとつの想定。
それは、倒産寸前。

勝手な想定のやり取りは
以下の通り。

貸した側
「経営、どんなもん?
大丈夫そうなん?」

借りた側
「いやー、すんません、無理っす。
そろそろバンザイしようかと・・・」

貸した側
「まじか!おいおい、少しでも
貸した金返せよ!」

借りた側
「返したいのはやまやまなんですけど、
バンザイするとお金は勝手に動かせなく
なっちゃうんで・・・」

貸した側
「じゃあ、今のうちに返せよ!
全額は無理にしても、少しでも返せよ!」

借りた側
「うーん、じゃぁ、新株予約権の
権利だけを買い取る形にしますか。
まぁ、大した金額じゃないですけど。」

貸した側
「何もないよりいいわ。
それで返してくれ。」

なーんてやり取りがある可能性も。
オンキヨーの決算発表は8月9日を
予定している。

決算発表の中身を
注視してみたい。

 

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