リクシルグループの株が急上昇。
原因は、日経ビジネスの報道。
リクシルグループの取締役会で
MBOによる上場廃止が決議された
という内容。
なんで株価は急上昇したのか。
説明出来る人は、株が詳しい人。
リクシルってどんな企業?
テレビCMでもよく目にする
LIXIL(リクシル)。
企業概要を見てみよう。
一言で言えば、キッチンなどを
作っている会社だ。
その昔、キッチンなどのメーカー
といえば、INAXやサンウェーブ、
新日軽やトステムなどがあった。
それらの企業が統合して
ひとつの巨大企業になったものだ。
売上高は1兆6,000億円を超える
巨大企業。
しかしながら、売上自体は近年では
毎年右肩下がり。
営業利益や経常利益は増加
しているものの、売上減少が
投資家には嫌われている。
いわゆる減収増益という企業。
ちゃんと利益を出しているのに、
売上が減少傾向なので、先行きが
不安な企業として位置づけられている。
直近1年間の株価では、
約3000円だった株価が半分の
1500円台まで落ち込んでいる。
昨年はじめにこの銘柄を購入した
人は、1年で資産が半分に
なったことを意味する。
しかしながら、大企業で上場企業
ともなれば、売上減少を指をくわえて
見守っているわけではない。
何かしらの手段を打ち、現状の
売上減少に歯止めをかけようとする。
その手法は、例えば新事業であったり、
M&Aであったり、リストラであったり。
様々な経営手腕が試される場面では
あるが、そんな中で報道されたのが、
MBO(マネジメントバイアウト)というもの。
これは一体どういうことか。
そして、株価への影響は?
MBOとは?
マネジメント・バイアウト。
まずは、この言葉を知っておこう。
マネジメントの部分は、直訳すれば
経営陣のこと。わかりやすく言えば、
会社自体のこと。
会社自体が、バイアウトを行う。
バイは、買う。
アウトは、退場。
会社自身が自らの株を買い占め、
上場基準に抵触させることで
株式市場から退場するという手法だ。
一時期、M&Aが盛んになってきたころは
上場しているというだけで買収の
ターゲットにされてきた。
上場している企業の株は誰でも
買うことが出来るので、資金さえあれば
その企業の株を買い占めることも可能。
上場している企業のリスクとでも
言うべきだろうか。
実際に買収されることを嫌がって、
わざと上場を廃止させるという
手法が賑わった。
上場廃止になるかもしれない
企業の株を買うというのは、
どういった思いなのか。
それは、上場廃止の直前に
株価を売却する動きがある。
上場廃止基準とは、一つの
株主が企業が発行する株式の
95%を買い占めた時点で、発動される。
つまり、株が流通していない
状態となるので、上場している
意味がないよね、というルールだ。
本来ならば株を流通させることを
目的とし、一定の株主が買い占めた
場合は退場を命じられるというもの。
ところが、自らが進んでこの
上場廃止基準に抵触するように、
自社の株を買い占める動きだ。
もちろん、簡単な話ではない。
株を買い占める資金も必要だし、
そもそも株主が売りに出さなければ
買うことも出来ない。
そこで一般的に行われるのが、
TOB(テイクオーバービット)だ。
「現在100円の株を、120円で買うよ」
と公言し、株を持っている人に
売ってもらうようにするやり方だ。
現在はまだそこまでいっていない。
しかし、その可能性があるということで
株価が上昇している様子だ。
MBOやTOBでなぜ株価が上がる?
よく自社株買いというキーワードを
目にする。
10株発行している会社が、自分の
資金で3株を買ったとしよう。
残り7株は流通しているが、
3割は企業が自分で保有しているので、
一般に出回るのは7割。
すると、今までは10株分の1株という
価値があった。
ところが、7株分の1株という
考え方になってくる。
10÷1で10%。
しかし、7÷1だと14%。
1株の価値が、勝手に上昇するわけだ。
そうなれば、1株の金額換算も
上がり、それに応じて株価も上がる。
まぁ、メカニズムはおいておいて。
こんな理由から、MBOやTOBは
株価を上昇させる起爆剤になる。
とりあえず基本的なことなので、
言葉尻だけでも覚えておこう。
リクシルは全面否定
今回のニュース記事では、
リクシルの社内での決定事項だと。
しかし、当の本人、ここでいえば
リクシルグループとしては、
真っ向から否定している。
真実がどっちなのかは
いまのところ不明だが、
MBO決議が真実だったとしても
不思議なことではない。
上場企業で売上が減少していれば、
何かしらの対策を取ることが多い。
MBOという手段も、生き残りを
かけた戦略と言えるだろう。
売上減少が続いている大企業
だからこそ、あり得る。
要は、自社だけでの復活は
難しいと判断し、大きく戦略を
転換する場合に行われる。
まぁ、このニュースの真偽は
今のところは定義されていない。
今から様々な動きが見られると
思うが、とにかく基本的な
ワードとそれに呼応する
株価の動きは知っておこう。