株取引のルールで、ひとつ
大きな変更があった。
受渡日が4日から3日になった。
さて、どういうことか。
そして、どんな影響があるのか。
受渡日という概念
株の世界では、この「受渡日」
(うけわたしび)は重要。
これは、実際に株を買うと
直面する内容なので、株取引を
したことのない人には馴染みがない。
だが、今後いずれすると仮定すると、
知らないといけないルールだ。
株は購入した瞬間から自分の
ものになるわけではない。
今までは、株を買った日から
起算して4営業日後に自分の
ものになるというルールがあった。
これは、株を売ったときも同様。
現金として引き出せるのは
売却した日から4営業日後となる。
なぜ数日のズレが生じるのか。
知っていても損はないので
少し説明しておく。
上場企業の発行する株には、
それぞれ名義というものが
存在する。
株を購入すると、その名義が
自分のものになるわけだが、
その手続等を一括で行っているのが
信託銀行と呼ばれる銀行。
株の売買がされたとき、取引所から
信託銀行へ名義変更の依頼がかかる。
信託銀行はもともとの持ち主の
名義を削除し、新しく購入した人の
名義に書き換える。
昔は実際の券面が存在したので、
売却した人はその券面を提出し、
代わりに現金をもらっていた。
購入した人には、自分の名前が
記載された券面が郵送で届く。
今は株券が電子化されているので、
このような券面は存在しない。
信託銀行も、株主名簿と呼ばれる
データの名義を書き換えるという
作業のみとなる。
もともとは手書きや郵送などの
手間がかかっていたので、実際に
名義が変わるのが4日かかると
いう理由で、受渡日が4営業日後と
なっていた。
今ではその作業等が電子化されて
いるので、名義の変更に昔ほど
時間がかからなくなった、ということだ。
受渡日を頭に入れる理由
実際に株の取引をする際には、
とても大事なルール。
いくつか例を出してみよう。
例1
急にお金が必要になったので、
保有している株を売却した。
実際に現金を手にするまでには、
3営業日後になる。
例2
証券会社から電話があり、
勧められた株を買った。
3営業日までに入金をすれば
いいと言われた。
例3
株主優待を獲得するために
当該企業の権利確定日の
3営業日前に購入した。
例4
年末に今年の損失を出すために
評価がマイナスの株を売却した。
年末の最終取引日の3営業日前
までに売却しないといけなかった。
実際に株を買った・売ったは、
専門用語で約定(やくじょう)と
呼ばれる。
売買が成立した約定日と、実際に
自分のものになる受渡日が
異なるという点は絶対的なルール。
株取引をする際には、必ず
知っておかなければならない
ルールだと思っておこう。
受渡日の変更で株価の動きにも影響
今回の変更、つまり受渡日が
4営業日から3営業日に
短縮されたことで、株価の動きにも
影響が出ることになる。
前述の例3のように、株主優待目当てや
株主配当目当ての投資家が多くいる。
そんな人達は、例えば権利確定日が
5月31日だったとすると、今までは
4営業日前の27日に保有している
必要があった。
なので、27日の翌日、28日には
既に権利が確定したので、株を売却
する動きが出る。
ちなみに、この27日のことを
権利付き最終日と呼ぶ。
なので、多くの場合には28日に
株価を下げることになる。
長期で保有する投資家は、わざと
権利付き最終日の翌日に株を買う
人までいる。
下がると分かっているので、信用取引で
空売りをする人も多い。
ただし、注意しておきたいのは
下がることが100%というわけ
ではない。
配当や優待の分は理屈として
下がるが、それ以上に株が
上がる場合もある。
300円の株があったとして、
配当が年率5%、金額で
15円配当の株があったとする。
半年に1回の配当なので、
1回あたりの配当は7.5円。
年率で2.5%。
すると、300円の株は、権利付き最終日の
翌日には7.5円、2.5%の
株価のマイナスとなる。
ところが、それ以上に好感する
ニュースが出て、5%、15円が
値上がりしたとする。
下げる7.5円を差し引いても、
7.5円の上昇が残るので
結果的に株価が上がるということ。
まぁ、実際に株が上がるか下がるかは
神のみぞ知るということだ。
だが、この理屈を知っておくことで
権利付き最終日の翌日の株価の
変動が理解できるようになる。
ちょっと分かりにくくなるので、
今日はこのへんにしておく。
こんな内容を勉強することが
本サイトの目的。
ちゃんとした知識を持って
投資家の仲間入りを。