チケット販売大手の「ぴあ」が、
横浜みなとみらいにアリーナの
建設をすると発表。
初期の投資費用を100億円と
しており、決して小さい金額ではない。
こんなニュースが出たので、
少しこの会社の中身をみてみよう。
上場して15年
創業から45年、上場してから15年。
チケットぴあの名前はよく知られる。
イベントやコンサートの情報を提供する
出版社としてスタートした。
店舗でチケットを印刷し販売する
「チケットぴあ」によりオンライン・
チケット販売業に転進。
さらにインターネットを使った
「@チケットぴあ」により
Eコマース業へ進化してきた。
時代に応じたチケット販売の手法に
順応し、着実に売上を伸ばしてきた。
今では、売上高1,500億円までに
成長している。
チケット販売は、販売価格の8%程度が
委託会社(ぴあ)の収益となる。
5,000円のチケットをぴあが
代わって販売すれば、ぴあには
400円の収益がもたらされる。
今までにない投資戦略
今までは本業のチケット販売を
増やすことに重点をおいた戦略だった。
IT化であったり、コンビニ販売であったり。
時代に合わせた投資戦略で、本業の
数字を積み重ねてきた。
ところが、今回の投資の内容は
今までとは大きく異る。
いわゆる不動産投資の部類。
アリーナ建設で、その使用料金が
収益となる。
ぴあのアリーナでイベントを開催すれば、
チケット販売は格安でしますよ、という
ビジネスモデルが出てくるのだろう。
しかし、このモデルは本業を伸ばす
という視点ではなさそう。
むしろ、新事業に近いものが
あるのではないだろうか。
本業との親和性の高い新事業。
なるほど、と納得してしまう。
その背景には?
親和性の高いビジネスとはいえ、
本業とは違う収益源のために
100億もの投資を行う。
企業にとっては重大な決断のはず。
とくにぴあは、年間の純利益が10億程度。
10年分の純利益をつぎ込むほどの
大きな投資となる。
その背景には、本業の伸びを
脅かすほどの巨大な影の存在が
あるからではないか。
あくまで個人的な推測だが、
チケット販売の分野に進出している
大企業がある。アマゾンだ。
チケット販売の世界展開を目論んで
いるという噂が出ている。
ぴあとしては当然負けることは
考えていないだろうが、
市場の食い合いの可能性もある。
本業の戦いを有利に進めるため、
今回の大規模な投資を決断した、
という一面もあるのではないか。
それほど、アマゾンの侵攻は
日本企業にとっては脅威。
ぴあの企業体質には賞賛
本当の理由があるのかどうかは
おいておいても、企業として
新しい戦略に取り組む姿勢は素晴らしい。
昨年の決算で、長期負債が無くなった。
このままにしておけば、無借金の
健全企業として存在できる。
にも関わらず、長期有利子負債を
増やしてでも大型の投資を
行う、いわゆる攻めの姿勢は、
企業として魅力的。
是非とも頑張ってもらいたい。