武田薬品の大型買収についての考察

ニュースでも取り上げられる
武田薬品工業の大型買収。

6兆円を超える買収。
日本国内では最大規模。

ちょっと専門的な用語や
その背景などを解説してみよう。

武田薬品工業はどんな会社?

テレビCMなどでもお馴染みなので、
名前は知っているだろう。

では、どんな会社なのか。
概要をみてみよう。

まず、国内製薬業界では
最大手のトップ企業。

売上高は約1兆7〜8000億円と、
超のつく優良企業。

製薬業界は大きく二つの種類に
分けられる。それは、大衆薬と
お医者さん専用の薬。

医薬品と医薬部外品に分けられ、
それぞれ異なったマーケットを
形成している。

ちなみに、武田薬品工業は
このどちらともを展開している。

医薬部外品では、アリナミン、
ベンザエース、ボラギノールなどの
お馴染みの商品名が並ぶ。

製薬会社全般に言える話だが、
新薬の研究開発費が大きく、
武田薬品工業は約6,000億円の
計上をしている。

6兆円を超える買収額

さて、そんな企業が行う予定の
日本国内での最大規模となる買収。

アイルランドの製薬会社大手
シャイアーの買収で、額は
6兆8,000億円。

世界の製薬会社で見ると、
タケダが15位程度、シャイアーが
22位くらい。

それでも、シャイアーの売上は
1兆を軽く越える大企業。

シャイアーはアメリカのNASDAQや
ロンドン証券取引所に上場しており、
その時価総額は500億ドル程度で、
時価総額は6兆円を超える。

武田薬品の時価総額は4兆円を
下回っており、時価総額で比べれば
小が大を飲み込む形になる。

今回の買収金額の6兆円超は、
すべて現金、というわけではない。

武田薬品工業が新しく株式を
発行し、その交換で幾分かをまかなう。

それでも足りないので、あとは
現金となる。

その現金を、今回はブリッジローンで
約3兆円を調達した、という流れ。

ブリッジローン、あまり聞き慣れない
言葉だが、ブリッジ、要は「橋」で、
つなぎ融資のことを指す。

1年間という短期間の融資枠の
ことで、長期負債に比べて借り入れの
金利が高いが、柔軟な資金調達が可能。

1年後までには、長期負債などに
借り換えることになる。

買収の背景

製薬業界は、実は買収だらけ。
国内最大手の武田薬品工業を始め、
上位陣はすべて買収を繰り返している。

その背景にあるのは、業界内の
厳しい経営環境と言える。

医薬品の価格が高いと文句を言われ、
国は薬価引き下げに動く。

ジェネリック医薬品の登場で、
新薬開発したにもかかわらず
10〜20年で独占販売権が失われるようになった。

大手製薬会社は次々に新薬開発を
行う必要があるにも関わらず、
新薬の承認に対するハードルは
年々上がっている。

つまり、開発にかかる費用は年々
上がっているのに、販売額は減少。

企業としては、経費を抑えつつ
売上を増加させないといけない。

そこで考案された方法が、買収だ。
合併することで研究開発費を抑え、
それぞれの販売ルートも活用できる。

日々、製薬業界の再編は行われる。
M&Aが活発に行われる業界と
いっていいだろう。

 

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