超優良企業、武田薬品の格付けが下がった。原因は、大型の買収案件。

国内の製薬会社の中でも
トップに君臨する、武田薬品工業。

1兆8000億円の売上を誇る、
日本国内でも屈指の優良企業。

ところが、そんな企業の格付けが
大きく下がった。

格付け降下は、大型買収のせい?

企業の格付けを発表しているのは、
格付け会社のムーディーズ。

国内屈指の企業で、売上も大きく、
シェアも高い。

そんな優良企業の格付けは、
今までは上から2番めのA2。

ところが、そこから3段階さげた
格付けに見直されたのはつい先日で、
リスクが中程度とされた。

要因は、やはり武田薬品工業による
大型の企業買収が決まったこと。

買収額は7兆円と、過去に類を見ない
規模の大型買収。

しかも、時価総額でいっても
武田薬品工業を上回る企業の買収。

小学生、とまではいかないが、
高校生が社会人を傘下に
つけたという感じ。

自分よりも大きな企業の買収は、
とてもめずらしいこと。

どうして買収の合意に至ったのかは
詳しく公表されてはいない。

だが、今回の買収で様々な
企業の数字に変化があったのだ。

有利子負債とEBITDA

ここででてくる言葉は、「有利子負債」と
「EBITDA」の2種類。

専門用語でもあるので、
少し解説しておこう。

まずは有利子負債。
これは、言葉が表すとおり。

つまり、利子が発生する負債、
要は借金だ。

借金の中には無利子のものも
あるが、通常の借金はすべて
金利が発生する。

1万円借りても、1万1千円で
返さなくてはならない、などだ。

一般的に有利子負債は、
何もせずに黙っているだけでも
利息というマイナス分が発生する。

利息以上の利益を出してこそ、
有利子負債を抱える意味合いが出てくる。

しかし、あまりにも巨額な有利子負債
なので、当然ながら金利の額も
それなりに大きな金額となる。

例えば、1兆円を金利1%で借りた
とする。

1兆円の1%、100億円という金利が
発生し、支払い義務が生じる。

何もしていないのに、100億円の
支払いが毎年発生する。

これは、どうみても経営には
マイナスなイメージだ。

なので、企業とすればできるだけ
有利子負債を減らしたがる傾向が
ある。

そんな有利子負債を、追加で
5兆円ほど借金したもんだから
多くの人が「大丈夫?」と思う。

そして、もうひとつのEBITDA。
読み方は、「イービットディーエー」や
「イービットダー」など。

そもそもEBITとは、税引前の利益から
支払い利息を差し引いたものを指す。

つまり、純粋に商売で出した
利益だけを見る。

決算数字では、金利などの支払いを
加味した利益になるので、本業は
どうだったかなどの比較がしにくい。

考え方は経常利益と似ているが、
算出方法が違う、とだけ言っておこう。

そして、有利子負債が大きければ
大きいほど、EBITの数値が重要に
なってくるというもの。

金利等の支払い前の利益に、原価償却
などの数字を加味したものがEBITDA。

まぁ、こんがらがってくるので、
経常利益の詳細バージョン、と
覚えておこう。

市場は武田の買収に疑問

武田薬品工業が、自分たちより
大きい会社を買収することについて、
世間の目は冷たい。

7兆円で買うのはいいけど。本当に
7兆円を上回る売上が出るの?と。

そんな疑問は不安に変わり、
株式の保有者は保有している
株を売却しはじめる。

そして、今回の格付け会社に
よる格付けダウン。しかも3ランクも。

この報道を受けて、市場では
10%弱の価格下落を招いている。

買収案件が成功なのか
失敗なのかを確認することは難しい。

ともなれば、失敗したことを前提に
有利子負債の返済も同時に行う
べきだろうに、武田薬品工業はしない。

挑戦しているなーと感心はするが、
やはり7兆円以上の売上を
あげようとすることは並大抵ではない。

それでも世間が注目したことは
間違いなく、最高の宣伝効果だろう。

大きく下げている武田薬品工業。
これは、買いなのか?
もちろん、投資判断は自己責任で。

 

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