リコーの巨額損失の可能性。この内容を分かりやすく解説。

複写機大手のリコーが、
アメリカで買収した会社の
業績不振で巨額の損失の計上を
検討しているというニュース。

この損失計上の仕組み、
意外と知らない人が多い。

何度もニュースになるので、
仕組みを理解しておこう。

買収した企業の業績不振は多い?

今回のニュースでは、リコーが
約10年前に買収した企業の話。

10年前に1600億円で買収した企業が
業績不振に陥っている。

似たようなことは、かなり
頻繁に起こっている。

昨年、日本郵政が民営化以来、初めての
赤字決算を行った。

その理由も同じ内容で、
買収した会社の業績不振による
損失計上だ。

そして、大きな問題となった
東芝についても、同じ理由。

米国の原子力会社を買収したが、
業績が悪化し、巨額の損失を計上。

さて、リコー・日本郵政・東芝で
比較すると、こんな感じ。

【損失計上(予定)額】
リコー・・・数百億円
日本郵政・・・4000億円
東芝・・・7000億円

なーんだ、リコーたいしたことないじゃん。
と思うのはやめておこう。

それぞれの会社の売上で比較すると
以下のようになる。

【売上高/売上高に対する損失計上額の割合】
リコー・・・2兆円/2.5%
(数百億を500億円で試算)
日本郵政・・・13兆/3%
東芝・・・4.8兆円/14.5%

売上高に対する割合でみると、
如何に東芝の損失が大きかったかが分かる。

リコーもそれなりに大きい額だが、
日本郵政のそれと比較すると、
似たようなもの。

つまり、巨額損失という言葉を
見るとビビるが、東芝ほどじゃない、
ということだ。

とはいうものの、決して小さい
額ではないので、ちゃんと理解しておこう。

損失計上の仕組み

さて、それでは損失計上の
仕組みを解説していこう。

大企業にすると分かりにくいので、
一般個人で例えてみよう。

A君は、自転車を買います。
その買う理由はこんな感じ。

「この高級自転車を10万円で買って、
人に1日1,000円で貸せば、100日×1,000円で
100,000円の売上になるな。
3ヶ月ちょっとで元が取れるぜ!」

そう考えたA君は、さっそく10万円で
高級自転車を購入。

しかし、思ったよりも借り手が見つからず、
月に1人くらいだった。

「月に1,000円か。でも、1年で12,000円。
8年間貸し続ければ10万円近くになるから、
8年ちょっとで元がとれるな。」

そう考えたA君はほそぼそと
自転車貸出業を続けます。

ところが、3年目に差し掛かったある日、
もっと高級な自転車が登場しました。
A君の買った自転車は見向きもされなく
なりました。

A君は諦めて、自転車貸出業を
辞めることにしました。

購入した自転車を売りますが、
売値は1万円にしかならず。

3年間の売上36,000円と、自転車を
売った金額が10,000円。

つまり、10万円の投資をして
46,000円しか回収できず、
結果として54,000円の損が出た。

A君は、54,000円の損を
泣く泣く奥さんに伝え、激昂されました。

さて、この例えで言えば、
損失計上はA君が諦めた時点での話。

元々は3ヶ月程度で元がとれる算段を、
8年間で元を取る算段に変えた。

しかし、この時点ではA君は
諦めておらず、損失も奥さんには内緒。
というか、この時点では損失ではない。

8年で元が取れる予定の投資案件なのだ。
ところが、8年で元を取ることすら
出来そうになくなった時点で、損失となった。

大企業の損失計上はこれと同じで、
企業を買収した時点では、数年で
元が取れる予定だった。

当初は3年で元がとれるはずだったが、
業績がそこまで伸びず、8年で元を
取る算段に変えた。

でも、この時点では損失計上はしない。
だって、損失じゃない、投資なのだから。

ところが、買収した企業が
伸び悩むどころか、赤字になった。

その会社を持っているだけで
毎年費用がかかる。

業績が回復する兆しがあればいいが、
もう無理、と判断した段階で
買収した金額から数年間の利益分を
差し引いた金額が損失計上される。

ややこしい話だが・・・

損失計上のメカニズムは
上述したとおりだが、ややこしい。

なので、ぜひともこれだけは
覚えておいていただきたい。

買収先の企業の業績不振による
損失計上というのは、その企業を
「見限った」ということ。

繰り返しになるが、諦めていなければ
単なる投資案件。
諦めた時点で損失計上。

「じゃあ、ずっと諦めなければ
損失計上しなくていいんじゃね?」

と思いそうだが、誰が見ても
「その会社もう無理だろー」という状況に
なっても損失計上しなければ、問題になる。

東芝は、まさにそれ。
誰が見ても「無理だろー」という会社を
「無理じゃないし!頑張るし!」
といって、損失を計上しなかったのだ。

だから、「損失隠し」だの
「不正会計」だのと言われた。

大企業のニュースには
この損失計上の文字が
ちょくちょく登場する。

ぜひとも内容を理解しておこう。

 

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