さて、今日はリコールの話。
パナソニックがPC向けバッテリー28万個を
リコールすることが報道された。
ニュースで報道されたが、
正直「またか・・・」程度で、
それほど驚かなくなているのは
私だけではないはず。
もはや定期的に報道される
大企業のリコール。
さて、株価への影響はいかがなものなのか。
リコールで株価は反応しない?
結論から言えば、株価への影響は
ほとんど無いといっていい。
もちろん、リコールの内容によってだが、
市場ではリコールによる企業業績への
影響は軽微なものとみている。
企業、特に製造業の場合には、
「製品保証引当金」なるものを積み立てて
いる場合が多々あり、多少の製品不具合は
始めから想定しているのだ。
今回のパナソニックの例でも、
PC用バッテリー28万個、と聞くと
大量に聞こえる。
しかし、パナソニックの売上は
昨年度で7兆3,000億円。
PC用バッテリーの卸値がいくらなのか
正確な金額は分からないが、
通販などで販売されている価格を目安にすれば
1万円程度。(実際には原価はもっと安い)
1万円×28万=28億円。
リコールによる広報費などを計算しても、
30億円〜40億円。
普通の企業なら大打撃だが、
大企業のパナソニックからすれば
売上の0.05%程度。1%にも届かない。
むしろ、リコールを誠実に公表して、
無償交換をするという企業姿勢を
評価されて株価が上がる可能性もある。
リコール隠しは大事になる
リコールを公表してもそれほど大事にはならない。
むしろ、リコールを隠していて、それが
バレた場合のほうがダメージが大きい。
消費者の信頼を無くし、売上が下がる。
そして、隠蔽していたということで
企業体質にも疑義が生じる。
結果、企業として信用・未来業績ともに
失墜し、株価が大きく下落する。
有名なリコール隠しといえば、
三菱自動車。
再三にわたるリコール隠しの発覚により、
その都度株価は大きく下落している。
株価は2003年に10株を1株にする
株式併合が行われているので、
株価での比較ではなく、下落幅で
確認してみる。
1998年には1年間かけて約80%の下落。
続く2000年には、約50%の下落。
2003年にも発覚したが、その時は
既に低い水準で、10%程度の下げで終わっている。
100万円分の三菱自動車の株を保有していた人が、
15年ほどの間に10万円以下になっているということ。
リコールは日常茶飯事
通常のリコールは、自動車業界だけでも
年間で150件前後が報告(国土交通省より)されている。
電化製品などの業界も年間で100件程度の
リコールが公表(消費者庁より)されており、
その他業種も含めれば、1日1回は
どこかのリコールが公表されている感じ。
もはや、リコールと聞いて
大事件だと思うほうが難しい。
リコールの内容を確認
上記の内容を知ってさえいれば、
株価への影響などを危惧する必要はない。
しかし、規模の大きさや、リコールに
至るまでの事故の大きさなどが影響する場合もある。
リコールの言葉に、「隠し」や「発覚」の
文字が付加されている場合には要注意。
リコールのニュースが出た際には、
そのへんを注意深く見てみよう。