日本ペイントHD、株主提案の取締役が過半数に。株価の動きも合わせて。

塗料で国内1位の日本ペイント
ホールディングスのニュース。

今日はこのニュースの解説。
ついでに、塗料業界も見てみよう。

日本の塗料業界

日本ペイントが業界1位は、
約3年前から。

それまで1位の座を守っていたのは
関西ペイントという会社だった。

現在、日本ペイントは約6,000億円、
関西ペイントは約3,000億円の売上。

約2倍近い差ができてしまった。
それくらい、日本ペイントの
勢いは強かった。

理由は、海外展開の成功。
そして、M&A戦略の加速。

そんな展開の背景にいたのは、
シンガポールの塗料会社だった。

2014年、日本ペイントは
元々の筆頭株主でもあった
ウットラムという会社から
買収提案を持ちかけられた。

早い話が、喰われそうに
なったわけだ。

どんな水面下交渉があったかは
分からないが、買収提案から一転、
第三者割当増資という話になった。

これも簡単に解説すると、
「喰ってやろうかと思ったけど、
いきなり喰ったら文句言われそう。
徐々に俺のものにしてから喰おう」

と、喰うことは喰うが、
文句言われないように喰おうと
思ったわけである。

それに対して日本ペイント側は
「え?食うの?まじで?
まぁいいけど。でもいきなり
俺を食うと、いろいろ文句言われるよ?」

と、喰われることに対しては
肯定的な対応だった。

徐々に進むウットラム化

ウットラムは、元々は日本ペイントの
14%程度の株主だった。

2014年の一連の騒動で
30%まで比率を高め、
今では40%弱まで占めている。

完全子会社となる過半数までは
到達していないが、筆頭株主で
しかも大きな割合を占める会社。

企業の最高意思決定機関は
株主総会となるので、ほぼ
実権を握っていた。

とはいうものの、まだ過半数
には至っていない。

そして、今回のニュース。
会社内部の実務決定者である
取締役の半数以上を、
ウットラムが指定してきたのだ。

これは、株主提案という形で
日本ペイント側に申し入れられ、
そして日本ペイントは了承した。

法的には日本ペイントはまだ
国内企業といえるが、実質的には
既に海外企業と言っていいだろう。

株価はどう動いた?

日本ペイントの業績自体は
様々な海外案件の伸びが堅調で、
どんどん上昇している。

海外展開の伸びの要因に
ウットラムの力があることは
明白で、市場もこれを評価していた。

今回、ウットラムから5人の
取締役の指定があった時点で、
株価は上昇した。

つまり市場としては、
「今まで業績拡大させてきた
ウットラムという会社の支配が
進むので、より一層の業績拡大が
見込まれる」と見られたのだ。

投資家目線では、業績アップが
見込めるのならOK。

しかし、日本国民としては、
日本企業が外資に乗っ取られる
様相になるので、少しさみしい気も。

さて、あなたはどっちの
思いが強いだろうか。

 

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