目次
外国債券とは
外国債券は、略して外債(がいさい)ともいいます。
アメリカやオーストラリアなど
外国で発行されている債券のことです。
外国債券を買ったらどうなる?
外国債券は、外国の発行体(はっこうたい)と呼ばれる機関が発行しています。
この発行体に対してお金を貸すことになります。
外国債券は、日本の債券と比べて
金利が高く設定されている場合が多いので、
個人投資家には人気の商品のひとつです。
外国債券のポイント:為替差益(さえき)と為替差損(さそん)
外国の通貨で投資することになるので、
為替がキーポイントになります。
外国債券の仕組み図でいうと、6.日本円へ両替の部分です。
為替差益(かわせさえき)と為替差損(かわせさそん)
為替差益(かわせさえき)は、為替の差で利益が出ることで、
為替差損(かわせさそん)は、為替の差で損失になってしまうということです。
かわせさそん…。フランス語っぽい。(笑
円高と円安のクラスで学習したように、
為替は毎日変動するものでしたね?
なので、円の価値が高い円高の時に債券を買って、
円の価値が安い円安の時に売れば
利子とは別に、為替の変動分の利益が手に入るわけですね。
お金を返してくれるまでどれくらい?
国債のクラスでも触れましたが、
貸したお金を返してもらうまでの期間を
償還期間(しょうかんきかん)といいます。
償還期間が来るまで、じーっと待っていなければならないか?
というとそうではありません。
償還期間中であっても、
今なら円安だし、売っちゃえ!ってこともできるのです。
外国債券のメリットとデメリット
外国債券を買うメリットは、
- 日本の債券よりも金利が高い。
- 為替差益を狙うことができる。(返してもらえる時期が買った時より円安ならその差分は利益になるってことですね)
ことが挙げられます。金利が高いって嬉しいですよね!
逆に、外国債券を買うデメリットは、
- 日本の通貨に両替する手数料がかかる。
- 償還期間が来たり、売ろうと思った時に、現金になるまでに約1週間かかる。
- 証券会社によっては、外国証券口座管理料がかかることがある。
などが挙げられます。デメリットの方が多い気が…。(苦笑
外国債券は、金利が高くて為替が変動するドキドキ感は楽しめるけど、
手元に日本円で戻ってくるまでには手数料や時間がかかるってことですね。
外国債券の商品を見てみよう
下表は、ある証券会社で販売されている外国債券です。
いきなり南アフリカって、なんでやねんっ!と突っ込みたくなりますが、
編集長の原稿どおり、ここは黙ってリライトいたします…。
商品名:南アフリカ・ランド建て利付債券(既発債)
はい、まずタイトルからして分からないです。
「南アフリカ・ランド建て利付債券(既発債)の販売条件」
なんじゃこりゃ…。
うーん…。読むのも大変。
ここは地道にモモコ流必殺分解術です。
南アフリカ・ランド建て(だて) | 南アフリカのランドっていう通貨で取引しますよ。 |
---|---|
利付債券(りつきさいけん) | 利子が付く債券ですよ。 |
既発債(きはつさい) | もう発行されてる債券ですよ。 |
まとめると…、
南アフリカ・ランド建て利付債券(既発債)という商品は、
南アフリカランドだて りつけさいけん(きはつさい)と読み、
南アフリカ・ランドっていう通貨で取引しなきゃいけなくて、
もう発行されてる利子が付く債券だよ、ってことですね。
発行済みの債券は既発債ですが、
これから新しく発行する予定の債券は新発債(しんぱつさい)といいます。
商品内容には何が書いてあるの?
やっと商品名が理解できました。
それではその販売条件とやらを見ていきましょう。
発行体(はっこうたい)
発行体 | 欧州投資銀行 |
---|
どこが発行した債券か、つまり
この債券でお金を貸す相手が誰かってことです。
この債券の場合は、欧州投資銀行という銀行です。
銀行だから信用できるかもだけど、
聞いたことないんですが…。
格付け(かくづけ)
格付け※ | AAA(S&P)、Aaa(ムーディーズ) |
---|
第三者の厳しい目で判断した
この債券に対する評価です。
お金を貸す相手の信頼度ともいえますね。
トリプルエー(AAA)が最高評価なので、
この債券は、星、みっつですっ!
S&Pとかムーディーズというのは審査機関の名前です。
2つの審査機関がトリプルエー(AAA)と判断しているのですから、
この債券の発行体である欧州投資銀行の信頼度は高い、と言えますね。
起債通貨(きさいつうか)
起債通貨 | 南アフリカ・ランド |
---|
この債券が作られている通貨です。
ここに書かれている通貨で債券を買わなければなりません。
見たことないですけど、ここでは南アフリカのランドっていう通貨です。
商品名に入っている「南アフリカ・ランド建て」の「建て」と同じ意味ですね。
額面(がくめん)
額面 | 10,000南アフリカ・ランド |
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債券の購入単位です。
この債券は、10,000ランド単位で買えますよってことです。
1ランドが約9円(2017年3月21日現在)でしたので、
10,000ランドは90,000円くらいです。
価格
価格 | 額面金額の100.72% ※3/21 10:00時点 |
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この債券が今いくらで取引されているかを示す金額です。
額面金額の100.72%とあるので、
90,000円×100.72%=90,648円
くらいで取引されているということになります。
利率(税引前)
利率(税引前) | 年7.50%(南アフリカ・ランドベース) |
---|
利率は、この債券についてくる利子の割合です。
すごいですよ、これ。
1年で7.50%も利子が付いてきますよ!!
90,000円の7.5%は6,700円!!
って浮かれていたら、
「税引前って書いてあるだろっ!」
と編集長の冷たい一言が…。
はいはい…そうですね、付いてますね。
利率の後ろに税引前というのが。
債券のクラスで学習しましたが、債券の利子というお詫び代には
日本では20%という所得税がかかるのでしたね?
外国債券なら、利子は債券指定の外国通貨で付くわけで、
その利子を日本円に両替した時点で
利子の20%を税金として納めなきゃいけません。
日本円で利子を受け取るというのは、
外国債権の仕組み図、6.日本円に両替のタイミングです。
日本円にした利子が約6,750円として、
そこから20%の所得税1,350円を差し引くと…。
手元に残るのは5,400円。
なので、この債券で受け取れる日本円の利子は
7.5%じゃなくて6%くらいになっちゃうというわけです。
わたくしモモコ。
現時点で外国債券がいいのか悪いのか分からなくなってきていますが、
先に進みますね。(笑
参考利回り
参考利回り | 年7.05%(南アフリカ・ランドベース) ※3/21 10:00時点 |
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債券で「儲け」を出すには、
債券の利子と為替差益が大きければいいってことです。
参考利回りは、この債券を「今買ったらどのくらいの儲けになるか予想」を示す数字です。
この債券に付いてくる利息と、現在の債券の価格から計算しています。
編集長の原稿には、債券を買う場合はここが一番ポイント!
って書いてありましたが…。
あのぉ…編集長。年7.05%ってどういうこと?
・・・なるほど。モモコ納得っ。
ってなるわけないでしょっ!
リライトしますから安心してくださいね。
債券価格が、100より上でしたよね?
この債券の利率は年7.50%で
価格は額面金額の100.72%でした。
編集長の言う債券価格が100より上ってのは
100.72%という数字が100(%)より上って意味です。(笑
償還を迎えると100で返ってくるんです。
つまり、債券価格だけ見ると、若干損をするんです。
高い時に買うことになるので。
これは、この債権を額面金額の100.72%の時に買ったとしても
償還期間が終わった時に返ってくるお金は、額面金額の100%だ、
ということです。
販売価格が100.72%ってことは、
10072南アフリカランドですよね。
南アフリカランドって全部書くとちょっと長いので
ランドに短縮して書きます。(笑
でも、返ってくるお金は10000ランドなので
72ランドがマイナスになるよ、ってことです。
でも、利息が付いてくるので、
それらを全部入れて計算すると・・・という数字です。
この債券の利率は年7.50%、残存期間は1年10ヶ月です。
残存期間については少し下に説明をしていますが、
お金が返ってくるまであと1年10ヶ月あるということです。
利率が年7.50%ということは、
1年間で750ランドがプラスされるということですね。
1ヶ月の利子は、750ランド÷12ヶ月=62ランドなので
10ヶ月分の利子を計算してみると、
62ランド×10ヶ月=620ランドになります。
1年10ヶ月分の利子は、
1年分の750ランド+10ヶ月分の620ランドなので
1,370ランドですね。
まとめると、1年10ヶ月後に
貸したお金は10000ランドしか戻ってこないので
72ランドのマイナスだけど、
利子は1,370ランドだから、1,370から72を差し引くと、
トータルで1,298ランドがプラスになるよ、
という数値ということ…です。
それと、この参考利回りの計算には、
税金や為替差損は入っていないらしいです。
いやぁ〜、編集長。恨みます…。(笑
利払い日(りばらいび)
利払い日 | 1月30日(年1回) |
---|
利子が支払われる日のことで、
この債券なら、年に1回、1月30日に利子が支払われます。
残存期間(ざんぞんきかん)・償還日(しょうかんび)
残存期間 | 約1年10ヶ月 |
---|---|
償還日 | 2019年1月30日 |
お互いに関係があるので、2項目を一度に説明しますね。
逆になりますが、まずは償還日から。
償還期間は、投資家たちからお金を借りる期間のことでしたね。
償還日というのは、投資家たちから借りたお金を返す約束の日のことです。
残存期間というのは、その約束の日(2019年1月30日)まで
あと何日あるかが書かれています。
この債券は、償還日の2019年1月30日まで
あと1年10ヶ月あるってことですね。
2019年1月30日になれば、
貸したお金に利子が付いて戻って来ますよ。
これまた編集長の原稿に書いてありますが、
「希望する運用期間に合わせて、
残存期間で債券を探す方も多い」
そうです。
将来的に、いつの時点で債券の「儲け」を出したいか、
この「いつの時点で」に照準を当てて債券を選ぶってことですね。
受渡日(うけわたしび)
受渡日 | 約定日の3営業日後 |
---|
この債券が投資した人の名義になるまでの必要な日数です。
この債券なら、約定日(やくじょうび)の3営業日後です。
ネットショッピングをした場合、
「ご注文ありがとうございました。在庫の確保ができましたので、
2〜3日以内にお届けします」というようなメールが届きますよね。
約定日というのは、このメールでいう「在庫の確保ができた」日になります。
なので、この債券を購入して在庫の確保がされた日から
3営業日後に名義が変わりますよってことです。
でも、一番上の図にある
2.外国通貨へ両替、の日数は入っていないので、
もう少し日数がかかります。
つか、そんな時間がかかるものなの?
銀行行ったらすぐ両替してくれるのに…。教えて編集長!
〜編集長より〜
通貨を買う、そして債券を買う。
2回の取引が行われる事になります。
通貨を買うのは、為替市場。
そして、債券を買うのは債券市場。
違うお店で買物をする感じです。
しかも、別々の国のお店で。時間がかかっちゃうんですね。
でも、実際の手続きは一回で終わります。
手続きさえしてしまえば、あとは待つだけです。
販売単位
販売単位 | 10,000南アフリカ・ランド以上、10,000南アフリカ・ランド単位での販売
※(参考)10,000南アフリカ・ランド×100.50%×7.90円=約8万円(1南アフリカ・ランド=7.90円の場合、為替スプレッド考慮済み、価格=100.50%の場合) ※本債券は既発券であり、ご購入に際しては経過利子相当額の払込みが必要になります。 |
---|
債券の販売単位です。この債券なら、10,000南アフリカ・ランド単位で買ってね、ということになります。
併せて、注意書きが書いてあります。
これは格付けに対する注意書きですね。
なになに…。
1番目の(参考)の内容はなんとなく理解できます。
この債券の格付けは、その計算ではじき出したAAAってことですよね。
ん?為替スプレッドって何?
編集長ーーーっ!
〜編集長より〜
為替スプレッドというのは、日本円から南アフリカランド通貨に
両替するときの手数料のことです。
では、2番目の注意事項。
経過利子相当額?
これはなんですか…編集長…。
わたし疲れてきました。
〜編集長より〜
経過利子というのは、利息が出る日まで
あと3ヶ月という状態の債券を買う場合、
9ヶ月はお金を貸していないのに、
3ヶ月後には1年分の利息が貰えてしまうので、
1年分の利息を12ヶ月で割ったうちの9ヶ月分は
前に持ってた人に払いましょうってことです。
まとめ
今回の外国債券のクラス、結構キーワードが詰まってましたね。
実際の外国債券の商品を見ながら進んだので、
ハードルが高くなってしまいましたが、いかがでしたか?
インターネットという便利な環境があるのに、
あれやこれやに時間がかかるというのは、
せっかちモモコにはなかなか耐えるのが難しいです。(笑
- 日本の債券と比べて金利が高く設定されている場合が多い。
- 債券の利子とは別に、為替差益(かわせさえき)が狙える。
- 償還期間まで勝手に売れない債券もある。
- 外国債券の参考利回りをチェックして購入する。
〜編集長より〜
これは、7.5%の利息と、債券価格を計算したものです。
債券価格が、100より上でしたよね?償還を迎えると100で返ってくるんです。
つまり、債券価格だけ見ると、若干損をするんです。
高い時に買うことになるので。
でも、利息が付いてくるので、
それらを全部入れて計算すると・・・という数字です。