こんにちわ。保険専門家のFです。
最近、高齢者ドライバーによる
交通事故が多発し、問題になっています。
今回は、高齢者ドライバー(特に、
認知症の症状を持っている方)が
交通事故を起こした場合の責任と対策について
考えてみたいと思います。
認知症の高齢者が起こした悲惨な事故
横浜市で実際に起きた事故。
88歳の認知症を抱えるドライバーが、
小学生の列に軽トラックで突っ込み、
1人が死亡、7人が怪我をした。
驚くことに裁判では「認知症の影響により、適切に車を
操作する能力を失っていた可能性が否定できない。」
として「過失責任が問えない」との判断をしました。
過失、つまり「うっかり」。
認知症の場合、うっかりでも罪にならない、
ということなんでしょうか・・・
過失責任が問えないと、どうなる??
「過失責任が問えない」との判断がされた場合、
被害者側は、自賠責保険の範囲(120万円〜4,000万円)までの
補償しか受けることができません。
※自賠責保険は、運転者の過失の有無を問わず、補償の対象になります。
このような完全なもらい事故の被害者になった場合、
相手からの賠償だけでは、十分な補償が
受けられない可能性を認識しておく必要があります。
加害者本人に過失責任は無くても・・・
また、もう一つ認識しておかなければならないのは
「ご家族に監督責任がおよぶ可能性がある。」
という点です。
確かにそうかもしれません。
認知症高齢者が運転する車は危険という
認識は誰にでもあります。
家族にいながらも、それを容認していた、
という責任ですね。
ご家族に認知症高齢者がいれば要注意です。
もらい事故・もらい責任への対策
これらの事態への備えとして、
意外と知られていない「自動車保険の特約」があります。
交通事故の被害者となった場合
自動車保険の一部である「人身傷害保険」
に「車外自動車事故補償特約」(※保険会社により名称が異なります。)
を付帯する事で補償できます。
通常、「人身傷害保険」は「保険をかけた自動車に
乗車している時に事故が起こり、けがをした場合」
の保険です。
「車外自動車事故補償特約」を付帯することで
「歩いていて(あるいは自転車等を運転していて)
他の自動車にはねられた場合」のけがも補償対象となります。
この特約が付帯されていれば、
仮に上記のように、運転者の過失責任が問えないような
ケースでも自身の自動車保険により十分な補償が受けられます。
しかも、世帯に複数台の自動車がある場合でも、
そのうちの一台にこの特約を付帯しておけばOK。
同居のご家族全員、さらには別居の未婚のお子様
(例えば通学の為に下宿されている学生の方)
までが対象となったりします。
(※保険会社により、対象となる範囲が異なる場合があります。)
加害者本人に責任能力がなく、ご家族が監督責任を問われた場合
自動車保険に「個人賠償責任補償特約」
を付帯することで補償できます。
この特約は、日常生活において、
他人の身体や財物に損害を与えた場合にその損害を
補償するものですが、責任無能力者の監督責任を
問われるようなケースも補償の対象になります。
保険料は?
人身傷害の車外保障では、
年間で2,000円〜3,500円程度。
個人賠償特約では、
年間で1,000円〜2,000円程度。
もちろん保険会社により若干の差はありますが、
どちらの特約も比較的安い保険料で
付帯できますのでお勧めです。
もう一度、ご自身の自動車保険の内容を
見直されてみてはいかがでしょうか。
保険担当者や自動車整備工場などに
相談すれば、相談にのってもらえますよ。