東芝の問題って何?(3) 近々にも上場廃止か否かの結論が出そうなので、ここらへんでおさらいです

東芝については、以前のブログも参照
東芝の問題って何?(1)
東芝の問題って何?(2)

東芝に関する問題は、日に日に状況が
変わっています。

会員様より東芝に関するご質問があったので、
ここで再度取り上げて解説しますね。

そもそもの問題は何?

東芝が連日のように報道されるように
なった原因は、一言で言えば「巨額の赤字隠し」です。
しかも誰もが知る巨大企業、いわゆる「名門」が。

東芝は、売上高が5兆円を超える企業。
従業員数も18万人を超えるなど、
そこらへんにある企業とはワケが違います。

数ある日本企業の中でもトップ20に
入るくらいの規模と知名度。

そんな企業が出した損失も超巨大。
史上類を見ない損失額で、それを公表せずに
隠していたというから大問題に発展している。

巨額損失の原因は?

企業が成長するために必要なM&Aと呼ばれる企業買収。

東芝もM&Aを行っていたが、買収企業のひとつが
多額の金額で、しかも赤字になっていた、ということ。

通常のM&Aでは、買収した企業の収益が
親会社となった企業の業績に上乗せされる。

例えば、売上1億円、純利益1,000万円のA会社があったとする。
A会社は企業買収で、売上2,000万円、
純利益100万円の会社を取得したとする。

すると、A会社の売上は1億2,000万円、純利益1,100万円になる。
ただし、買収したその年は買収金額がマイナスになるので、
翌年から売上・純利益がプラスになることになる。

潤沢な手元資金があれば、投資の意味合いとして
成長する企業を買う、ということ。

しかし、東芝は大きな赤字企業を買収してしまった。
もちろん、最初からそのつもりはなかっただろう。

買収後、その会社の業績が悪化し、
見込んでいた利益どころか、破産までする始末となった。

ちなみに、東芝が買収後に破産した会社は
アメリカのウェンチングハウスという原発関連会社。

なぜ赤字になったことを隠したのか

企業にとって、想定外の事態はいつでも起こり得る。
今回も、想定外だったと思う。

「買収した企業が赤字になっちゃいました。
利益出ると思ってたんだけど、失敗です。てへ♪」

これが言えなかったのである。
なぜか。

小さい額の企業買収が失敗した程度なら
問題なかったと思う。今回の買収は、金額が大きすぎた。

当時で54億ドル、追加投資も含めると日本円で約6,000億円。
買収したのは10年も前の話だが、ここにきて
出るはずだった利益が無くなり、6,000億円が
水の泡になってきたのだ。

この事実を公表すれば、業績は悪化していることで
株価は下落し、経営陣は責任追及され解任される。

おそらくだが、「今現在は赤字でも、近いうちに
黒字転換すれば問題無い」と思っていたんだろう。

ところが、黒字転換どころか赤字幅が拡大し、
遂には破産手続きを取ることにまでなった。
つまり、6,000億円が無くなったのだ。

子供が悪い点数のテストを親に見せないように、
東芝も悪い結果を株主を含めた世間に見せないようにしたのだ。

東芝はどうなるのか

東芝本体で言えば、6,000億円の損失
(現在は1兆円の損失まで拡大したとも言われている)
は倒産するほどではない。

今まで取得した資産を売却すれば、
作れない金額ではない。

しかし、問題は「隠した」という事実。

不適切会計などと言われているが、
結果的に株主を含めた世間を騙していたことにつながる。

その経緯や事実関係を確認している最中だが、
証券取引所が「これは不正会計」と判断すれば、
東芝は上場廃止となる。

仮に「不適切なだけで、不正ではない」という
結論が出れば、業績等の問題から東証1部→2部への
降格ということになるだろう。

あるいは、どこかの企業や国が救済に動けば、
東証1部に今まで通り君臨することになる。

その最終判断が近々にも行われる。
おそらく、その時点でさらに大きなニュースとして
取り上げられるだろう。

東芝の動向には注意深く気を配っておこう。
株主ではないにしろ、東芝の電化製品を
使っている人は多いのだから。

 

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