石油元売の決算が好調。石油価格上昇で恩恵。

石油元売の大手4社の
決算発表が出揃った。

特損を抱える企業もあるが、
本業は総じてプラス。

さて、石油元売り4社ってどこ?
そして、その利益構造はどんなもの?

石油元売という会社

石油関連株としていくつか
あるが、その中でも「元売り」
と呼ばれる企業が数社ある。

元売りとは、原油を輸入して
国内に入れて、そこで販売できる
状態にする「精製」を行う。

精製した商品は、ガソリンや軽油、
プラスチック製品に使われる
ナフサというものなど。

それらを国内の輸送に乗せて、
全国各地へ運ばれる。

そんなことをしている企業が、
国内大手で4社がある。

JXTGホールディングス、
出光興産、コスモ石油、そして
昭和シェル石油。

ガソリンスタンドで伝えた
方が、伝わりやすいかも。

というか、ガソリンスタンドで
分からないのはJXTGホールディングス
だけか。

まぁ、よく見かけるガソリンスタンドで
名前が出ていないところは、
ひとつしかない。そう、日石だ。

業界内の再編を繰り返し、
社名がどんどん変わっていった
ため日石の文字が無くなった。

JXTGは業界トップだが、
その他の元売り各社も
再編に揺れている。

出光興産などは、昭和シェル
との経営統合の話が進んで
いたりする。

元売りの収益構造

気になる収益構造の話。
まぁ、そんなに難しいこともない。

簡単に言えば、国内で石油を
使うようなものが増えれば、
石油使用量も増加し、儲かる。

では、今回の決算発表で
好調だったのは、需要が増した
からなのか。いや、そうではない。

石油元売の業績好調の理由は、
原油価格の上昇にあった。

今年前半、石油価格は
ぐんぐん上昇していた。

トランプ大統領の施策によって、
石油の供給が減少するだろうと
いう思惑が働いたからだ。

さて、原油価格が上昇して
元売りが儲かる。意味がお分かりに
なるだろうか。

普通で考えれば、仕入原価が
上がるので、業績は悪化するはず。

ところが、元売りはそうではない。
さて、そのカラクリを見てみよう。

元売りは国内の需要に対応するために
ある程度の在庫を抱えている。

しかし、石油製品はその時の
原油価格によって販売価格が
決定する。

すると、例えばだが今までは
1万円分の石油を作るのに
2000円かかっていたとする。

ところが原油価格が上昇し、
卸価格に転嫁されることで
1万円の石油が1万と2000円で
販売されることになる。

しかし、この12000円で販売される
石油の原価は2000円だったので、
自動的に収益がアップする。

そんな理由で決算が好調なわけ
だが、ご存知の通り直近の
原油価格は下落傾向にある。

もちろん、上記の理由を考えれば
原油価格の下落は逆に元売りの
業績悪化を意味することも知っておきたい。

石油業界の胴元はまた別

ここまでの内容で、石油元売りが
石油業界の胴元とお思いの方も
いるだろうが、それは違う。

確かに、石油が国内に入る際の
入り口企業なので、胴元には近い。

ただ、胴元というのは価格も
決定できる権限を持つ。

元売りは、あくまで石油の流通を
担っている企業で、他力本願的な
ところが強い。

そして、本当の胴元とは・・・
総合商社だったりする。

例を挙げれば、三菱商事や
三井物産など。

総合商社は、各国と日本国内への
石油輸入の契約を取り付ける。

例えば、石油産出国であるAという
国があれば、その国との交渉を
行うのは総合商社。

そこで、「○○バレルを○○円で
買います」という契約を結ぶ。

もちろん、原油価格は相場なので
上下するので、上下した際の
契約も盛り込む。

そして、その内容で合意したあとは、
石油元売にその道をつける。

つまり、石油がどんな企業から
国内に入り、消費されようとも
儲かるという、本当の意味での
胴元となる。

今後も石油が無くなることは
無いだろう。

石油の流れは是非とも
知っておきたい。

 

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