携帯電話事業に新規参入する
楽天が、KDDIと業務提携を。
分かりやすい業務提携だが、
両者は競合となるはず。
今回の業務提携の狙いは?
そして、その効果は?
KDDIのスタンス
今回の発表は、KDDIの決算発表の
中で行われた。
通常、業務提携などの発表は
その都度行われる。
サプライズの隠し玉として
残しておいたのだろうか、と
勘ぐってしまう。
確かに、新規参入の競合会社との
業務提携は、サプライズだ。
将来のライバルを、自らの
手で育てようというのだから。
KDDI側のコメントから察するに、
楽天から業務提携の申し入れが
あったらしい。
楽天
「KDDIさん、うちと組みませんか?」
KDDI
「え?まじで言ってんの?」
楽天
「まじっすよ。駄目ならいいですよ。
別のところと組みますけど。
どーします?」
と、楽天が主導で進めた提携だ、
という雰囲気でKDDI側はコメント
している。
両者のメリットは?
楽天側とすれば、携帯電話を
提供するために必要なアンテナ
などの建設が間に合っていない
地域でも、携帯電話を使えるようにする。
具体的には、都市部や混雑地域は
楽天が自社でアンテナを設置し、
楽天自らの回線として提供する。
しかし、建設が間に合わない
地方の回線は、KDDIの回線を
借り受けることで、利用者の
利便性を当初から確保することができる。
建設できた地域から順番に
自社回線を利用できるようにして
いくことで、サービス提供を
滞りなくすることができる。
これに対してKDDIは、地方部の
回線を提供することで貸す費用を
徴収することができる。
収益確保、と言ってしまえば
それまでだが、もちろんそんな
理由だけでは動いていない。
そんなKDDI側のメリットを
見てみよう。
KDDIの狙い
回線貸出の収益は当然ながら
見込んでいるという。
しかし、狙いは決済だという。
KDDIでは、au WALLETと
呼ばれるサービスを提供している。
ポイントとチャージを合わせて
約1000億円のお金を預かっている
状況にあり、その使用用途を
増やしたいんだとか。
つまり、「au WALLETって
便利だよねー。どこでも使えるし」
となってほしい。
そのためには、楽天が持つ
加盟店への相乗り策が効果的と
判断したようだ。
au WALLETでチャージして、
ポイントを貯めて、様々な店舗で
利用できる環境を提供する。
そうすれば、KDDIの、au自身の
使い勝手が向上し、解約や他社乗り換え
が減るという算段だ。
しかし、提携は2026年3月までと、
約7年ちょっと。
その間で、楽天側はアンテナの
建設を進めて自社回線の提供を
すすめる。
一方のKDDIも、利用可能店舗の
開発に取り組むのだろうか。
順調に進めば、2026年には
「離婚」が待っている。
円満離婚になるのか、もめて
裁判沙汰の離婚になるのか。
この結婚が吉と出るか凶と
出るか。まだまだ分からない。