スマホでQRコードを読み取る
だけで決済ができるーーー
そんな仕組みを浸透させるべく
大きく動いたのが、ソフトバンクグループの
ドン、孫正義氏だった。
さて、その進捗を見てみよう。
手軽に導入、QRコード決済
利用者側からすれば、Suicaや
おサイフケータイなどのように、
ピッとかざせば決済の方が楽。
にもかかわらず、わざわざQRコードを
読み込ませての決済なんて、
浸透するのか・・・
そんな懸念とは裏腹に、
孫正義率いるソフトバンクと
ヤフーが共同出資で専用会社を
設立したのが今年の6月。
社名は「PayPay株式会社」。
PayPalではなくPayPay。
新会社を作ってまで本格的に
参入を決めている。
それほど、勝算アリと踏んでいる
のだろうか。
中国では、多くのお店で利用可能な
QRコード決済。
なんと、物乞いまでもがQRコードを
見せてお金を恵んでもらっている。
そこまで広がればたしかに
勝算はあるだろうが、問題は
QRコードで支払える店の数だろう。
なんと、導入手数料無料!
お店側では、未だに現金払いしか
受け付けていないところも多い。
その最大の理由は、決済手数料。
高いものでは5%などもある。
10,000円のものを販売しても、
決済手数料で5%取られるので、
売上は減ることになる。
原価は変わらないので、単純に
店側の利益が減ったことになる。
たかが5%と思われるかもしれないが、
ちょっとしたラーメン屋でも
月の売上は300万円とか。
300万円の5%といえば15万円。
現金で支払ってさえもらえれば、
手元に残るはずの15万円だ。
しかし、仕組みを提供する側は
決済手数料以外に収益がないので、
やはり5%くらいの手数料を
もらわないと割に合わない。
これがクレジットカードなどで
あれば、店側はカードリーダー
などの端末を購入する必要がある。
いくら消費者にとって便利だから
といっても、初期費用に加えて
ランニングコストもかかるとなれば、
普通に躊躇するだろう。
ところが今回のPayPayの戦略は、
加盟店側の持ち出しはゼロ。
それもそのはず、店側は印刷した
QRコードをレジに貼っておくだけでいい。
決済手数料も最初の3年間は
無料など、導入してもマイナスは
一切ない。
マイナスがなければ、店舗側も
喜んで導入してくれるだろう。
PayPayの収益モデルは?
導入費ゼロ、決済手数料ゼロ。
これでは、仕組みを提供する側には
なんのメリットもない。
それでも無料で導入を進める
裏側には、別の戦略があった。
決済手数料は3年間タダ。つまり、
3年経過後は決済手数料がかかるということ。
何%かは分からないが、
目先の収益はゼロ。
いわゆる先行投資にほかならない。
それでも先行投資を続ける
意味は、別のところで稼ぐことを
描いているからだろう。
Yahooの代表的な決済手段である
Yahooウォレットなどは、利用者数が
約4000万だという。
そんな、ソフトバンクグループ特有の
顧客層があれば、利用者の確保は
容易にできる。
最大の問題である登録店舗も
「無料」という武器をもとに
増加しているらしい。
しかも、お客さんの決済情報を
元にビックデータを解析し、
その情報を販売するのだそう。
導入側は無料。
消費者側も無料。
なるほど、無理矢理にでも
QRコード決済を定着させようと
している様子だ。
ソフトバンクグループでしか
出来ないやり方だが、その力を
たしかに持っている。
QRコード決済は定着するのか。