パナソニックによるパナホームのTOB。ニュースに出てましたよね。今回はこれを解説してみましょう。

パナソニック(6752)による
パナホーム(1924)のTOB。

公開買付け価格は1,200円とのこと。
さて、今日はこの話題について解説してみますね。

今まではどんな状況だったの?

パナソニックといえば、超巨大企業。
売上高は連結で7兆円超。従業員数は連結で25万人。
(ちなみに、先日来から話題になっている東芝は、
ランキング17位、売上高5.5兆円ほど)

上場企業の売上げランキングでは、2016年3月末時点で12位。
連結子会社の数は2016年3月末時点で475社。

連結子会社を順番に完全子会社化を進めていた。
今から6〜7年前にも、パナソニック電工や三洋電機などの
連結子会社が完全子会社化している。

連結子会社を完全子会社にする意味

連結子会社というのは、親会社としての決算に
子会社の業績も含めますよという意味合い。

業績は親会社に影響するし、親としては
子供に頑張ってもらうために
いろいろ指図や指導を行う。

しかしながら、連結といえども完全子会社では
ないので、独自の経営をしている。

細かい話でいえば、就業規則や給料体系が違ったり、
出勤時間や有休の取扱も違ったり。
プレミアムフライデーが休みになったりならなかったり。

日頃の経営は完全に「別会社」として展開している。

実際の営業現場では、パナソニックとパナホームが
連携して案件を進めようとしても、
「同じグループ会社だが別会社の人」となるので、

何かの決定をする際には、それぞれの
会社で別々の決済プロセスを経る必要があり、
どうしても意思決定に時間がかかってしまう。

完全子会社にすることで、親が決定する
内容が絶対となり、子供の意思決定が無くなる。

経営的には「機動的」な判断で動けるように
なるというわけだ。

もともとは株式交換による子会社化を予定していた

株式交換による子会社化。
つまり、パナホームの株を持っている人は
自動的にパナソニックの株に変わる、ということ。

交換比率なども発表される。
パナホーム1株とパナソニック3株を同等とする、
などの比率を、細かく計算して発表することになる。

しかし、パナホーム株の筆頭株主である
海外の投資ファンドが文句を言った。

「その交換比率はおかしくね?」
という具合である。

それに加えて、株式交換で子会社化しようと
決定された後に、法人税制の変更があり、

株主への配慮と税制面での優遇を理由に
株式交換からTOBに手法を変更した、ということ。

パナホームの株主にはご満悦の内容?

株式交換の場合には、保有する
パナホーム株が自動的にパナソニック株に
変更される。

交換比率によって株数が決定し、
多くの場合には端数(単元株が100株単位であれば、
35株などの10の位と1の位までの株数)
が登場してくることになる。

煩わしい計算が回避され、TOBで
約20%程度のプレミアム(儲け)が
確実になったことで、パナホーム株主は
ラッキーな結果になったといえる。

そう思うと、文句を言った海外ファンド、
ありがとう!というイメージ。

企業に対して株主側として
意見を言える投資ファンドが
筆頭株主にいた、という事実が
今回の結果を引き寄せた。

銘柄選定の際には、
株主に「モノ言う株主」がいるかどうか
なども、選定基準にしてもいいかもしれない。

 

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