日本の薬の価格って誰が決めてるの?高いの?安いの?

アメリカでのニュース。
ある30歳代の女性が、
インフルエンザで死亡。

今となってはそこまで高い
致死率でもない病気で
死亡に至った理由。

それは、「薬が高かったので
買わなかった」からだという。

そんなに高い?

ニュースの女性は小学校の
教師を勤めており、収入も
低いわけではない。

10歳と7歳の子供をもつ
ごく普通の家庭。

熱が出て病院にかかり、
インフルエンザと診断され
処方された薬がタミフルだった。

そして、そのタミフルの価格が
12,000円。購入を躊躇し、容態が
急変、死に至った。

「あれ、タミフルってそんなに
高かったっけ?」と思われる方も
いるだろうが、諸外国と
日本では薬の価格が大きく違う。

タミフルだけでいえば、
日本での価格は1カプセル
約320円。

7日間分で、1日3回の服用で
処方されれば、6,720円。

保険証があれば3割負担なので、
約2,000円の負担となる。

12,000円という価格は、
やはり少しお高いように思う。

そもそも、薬の価格はどうやって
決定されているのだろうか。

薬の価格が決まるまで

医療用医薬品の価格は、
「薬価(やっか)」と呼ばれる。

国の医療保険制度から、
病院や保険薬局に支払われる時の
薬の価格のことで、製薬企業の
資料などをもとに厚生労働省が
決める「公定価格」となる。

まぁ簡単に言えば、
国が薬の価格を決めているのである。

新しく開発・発売することになった薬は
すでに使用されている効き目の似た
薬の価格と比較して決定される。
(類似薬効比較方式という)

似たような効き目をもつ
薬と比べて高い有効性や
新規性などが認められると、
価格は上乗せされる。(補正加算という)

似たような効き目の薬がなく、
比較ができない場合には、
薬の原材料費や製造費などの
原価をもとに価格が決定される。
(原価計算方式という)

外国に比べて薬が安い?

諸外国は製薬会社が薬価を決定する。
日本では、国が決定する。

しかも、日本の薬は、
2年に1度の価格改定のたびに、
価格が引き下げられている。

製薬会社が価格を自由に
設定できる国と比較して
安価になる傾向がある。

消費者である我々にとっては
嬉しいばかりだが、反面、
企業には旨味が少なくなる。

同じ薬でも、日本で販売するよりも
他国で販売した方が利益率は
高くなる。

企業としては、安くなる日本の
市場よりも、他国での販売を
優先するわけだ。

なので、「新薬」と呼ばれるような
薬の流通は、諸外国に比べて遅い。

製薬会社から見れば、日本の市場は
利益率も低く、承認されるまでの
時間もかかることから敬遠されがち。

そんな現状を変えようと、
様々な取り組みもある。

国は2010年4月から、新薬の中の一部で
価格の下げ改定をおこなわず、
後発医薬品が発売された後にまとめて
引き下げるという方式を導入。

諸外国に比べて高い薬も

がん免疫薬の「オプジーボ」という
薬がある。

2016年に国内で承認されたが、
100mlで72万円だった。

ところが、アメリカでは約4割の
30万円、イギリスでは約14万円。

日本で最初に承認されたことで、
比較する価格が無く、原価等で
計算されたからだ。

あまりにも高いということで、
本来なら2年に1度の薬価改定を
早めて、50%の価格にした。

まぁ、それでも100mlで
約36万円となるが。

この薬で闘病生活を行う患者は、
長期間、この高価な薬と付き合う。

なので、長期治療には
イギリスへ引越したほうが
安上がりになる、ということも。

消費者にとって分かりにくい
部分ではあるが、製薬会社の
業績等には影響がある話。

ひいては、我々の手にする
薬価に関する話でもあるので、
知っておこう。

 

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