「労基署、全民放キー局に
行政指導=違法残業の是正勧告など」
こんな見出しのニュースから。
民放を含む放送局は
たびたび激務として取り上げられる。
一方では、給料が高い職種としても
たびたび登場する。
そんな放送局の業界を覗いてみよう。
民放とかキー局とか
テレビに触れることは日常的に
あるが、テレビ業界を知っている人は
意外と少ない。
なので、今日はテレビ業界について
少し勉強してみよう。
まずは、「民放」というキーワード。
これは民間の放送局という意味で、
全国に存在するほとんどの放送局が
「民放」に当たる。
逆に、民放に当たらない放送局。
それは、NHKだ。
ちなみに、NHKの正式名称は
「日本放送協会」で、唯一の
民間ではない放送局となる。
なので、「民放」と言われると
NHK以外の放送局がすべて
当てはまると思っていい。
次に、キー局という言葉。
英語のKEY(鍵)からきており、
メインとなる放送局のこと。
ここからは少し難しい話になるが、
民放には大きく分けて
「キー局」「準キー局」「地方局」の
3つに分けられる。
キー局ではドラマやバラエティなど、
様々な番組が制作される。
そして、全国の系列局に
一斉に放送することで、
全国向けの番組やCMが流れる。
地方局は、一言で言えば
田舎の放送局。
自社で番組を制作することは
多くなく、殆どはキー局が
作る番組を流すだけ。
なので、言い方は難しいが、
地方局は番組制作には長けていない。
そして、キー局に言われたとおりに
番組を流すことが殆どで、その番組には
テレビCMもついてくる。
キー局に言われるとおりに番組を
流していれば、勝手にCM料が
入ってくる、という流れだ。
だがその分、収益も大きくはなく、
地方局は独自でスポンサー獲得に
躍起になっている。
逆に、キー局は番組制作から
やっているため、テレビCMなどの
広告料は大元として受けとる。
各地域に点在する地方局を
利用して、全国向けのテレビCM料が
大元に入ることになる。
これも言い方が悪くなるが、
大元でピンはねすることで
キー局の収益は上がる。
キー局は激務?
それでは、実際の中身を
少し覗いてみよう。
様々な番組を制作するキー局は、
激務なのか。
たびたびテレビではディレクター
などが椅子を並べて寝ている風景が
放送されたりする。
これも、本当の話。
番組制作において、締切が
あるので、それに間に合わせるために
やっている。
しかし、番組制作といっても
実はほとんどが外注。
と、ここで番組制作の
流れを確認しておこう。
まずは映像撮り。
局内ではドラマ撮影など。
外ではロケなど。
ここで作られた映像が元になるが、
そのままではない。
このあとに、必ず「編集」という
作業が存在する。
時間内に収めるために、映像を
切ったり貼ったり。
面白くするためにテロップを
乗せたり、効果音を入れたり。
こうして、例えば45分用の
映像が完成するのである。
この状態が、いわゆる「完パケ」
と言われる。
ここまでが、ほぼ外注で行われる。
「完パケ納品」という言葉があるほど。
そして、局内に納品され、ここからが
局員の登場。
まずは中身をチェック。
実際に中身を見て確認作業をする。
45分なら、そのまま45分間を
見なければならない。早送りは出来ない。
放送禁止用語や倫理基準に
則って、問題がないかを判断する。
問題がなければ、今度はその映像の
合間に、CMを入れていく。
番組の内容とスポンサーの種別で
CMを入れるタイミングなどを
考え、挿入されていく。
完成された番組は、今度は
全国ネットとして地方局と
つながる線に入れ込まれ、
全国ネットとして放送される。
この編集と呼ばれる作業で、
番組の質が変わってくる。
局員は大変?
キー局の局員は、これらの編集作業から
全国に流すための地方局とのやりとり、
番組制作をする外注とのやり取り、
広告を持ってくる広告代理店とのやり取り。
多くの人が多くの役割を持ち、
それぞれが時間をかけている。
確かに激務だが、その分の給料は
高いことでも知られる。
今年1月に掲載されていた
上場企業の給与ランキングでも、
放送局は常に上位に位置する。
4位にTBSホールディングス。
6位に朝日放送。
7位にフジメディアホールディングス。
9位に日本テレビホールディングス、
14位にテレビ東京ホールディングス。
上位にキー局と呼ばれる放送局が並ぶ。
※テレビ朝日は是正勧告等により未開示
働きやすさを取るか、高給を取るか。
それでも、華々しいメディアの世界と
あって、放送業界の人気は高い。