「純資産1兆円へ 日本最大のファンド
「ひふみ投信」に死角はないか」
こんな記事が出ていた。
そして今回は、特定の
投資信託の紹介ではない。
みんなが買っている投資信託は、
人気があるという理由ではないから。
国内最大の投資信託
投資信託が買われた総額は、
投資信託の純資産総額と呼ばれる。
それだけ多くの人が、その
投資信託を買い求めたということ。
投資信託に馴染みのない人の
ために、少し例を出してみよう。
「頑張って運用して資産を
増やしてあげるから、俺に
お金を預けて!」という3人がいるとする。
ローリスク・ローリターンののび太。
ミドルリスク・ミドルリターンのスネ夫。
ハイリスク・ハイリターンのジャイアン。
面白みのないのび太は、1万円しか
集められなかった。
危なっかしいジャイアンは、
10万円を集めた。
ほどよい感じのスネ夫が一番
資金を集めて、100万円。
この場合、スネ夫の運用が
多くの支持を得た、といえる。
つまり、人気があって、
周囲のニーズに合致したといえる。
「みんながいいって言うんだから、
スネ夫はいいんでしょ」と
大衆心理に乗っかったものもいるだろう。
普通で考えればこうなるし、
「良い」と判断される。
しかし、日本国内の投資信託において
その法則は当てはまらない。
投資信託の中身は複雑
投資信託には様々な種類があり、
その種類は1万を超える。
投資信託ごとに投資対象が異なり、
投資手法も違う。
一つ一つの投資信託の中身を
吟味して選択出来る知識を
持つ人は、ほとんどいない。
知識の無い人が選ぶ基準は、
「多くの人が買っているから」とか
「今まで上がっているから」とか
安易な基準しか存在しない。
そして、最も重要で、しかも
影響を受けている理由がある。
「営業マンが勧めて来るから」
これが、国内最大の純資産総額を
作り出している秘密だ。
金融知識を持たない人は、
金融知識を持つ人間の言うことを
100%信じて、投資する。
営業マンが嘘をついているとか、
そんなことではない。
購入する、選ぶ側は、他の選択肢を
持ち合わせていないのだ。
特に銀行マンに勧められると、
日本人は信じて購入する人が多い。
銀行という安心感満点の響きと、
金融の専門家が言うんだから
大丈夫だろうという曖昧な認識。
純資産総額が大きくなる投資信託は、
決まって地銀などが販売している。
人気があるから買われるのではなく、
売る人が多いから買われるのだ。
過去の最大の投資信託
1兆円が視野に入ってきた、
ひふみ投信という投資信託。
実は数年前には、1兆円を超えた
投資信託が存在していた。
グローバルソブリン、略して
グロソブなどとも呼ばれ、
純資産総額は1兆円を超えていた。
この投信も、様々な銀行や
証券会社がこぞって販売していた。
決して投資信託を批判して
いるのではない。
投資知識を持たない人にとって、
投資をしやすい金融商品だ。
だが、その裏側は是非とも
しておいていただきたい。
詳細は割愛するが、銀行や証券会社は
なぜ1万もの種類の中から同じような
投資信託を販売するのか。
本来、銀行も販売する投資信託を
自由に選ぶことができる。
しかし、特定の投資信託に
偏るにはちゃんとした理由が
存在するのだ。
投資信託の成績がよい、
もしくは投資信託の運用会社が
信用できる、など。
こんな理由は、あくまで表向き。
そして、裏の理由もちゃんと
存在している。
それは、販売した銀行などへの
バックマージンが大きい、ということ。
のび太よりもジャイアンよりも、
スネ夫にお金を預けることを
勧めたほうが、見返りが大きいから。
あくまで例だが、スネ夫は
「1万円集めてくれたら、千円あげる」
と裏で約束していたとする。
自分が買うかどうかは別として、
スネ夫を紹介するだけで
千円もらえるのだ。
のび太、ジャイアンは
何ももらえない。
となれば、スネ夫を紹介する人が
増えるのは当然なこと。
そんな裏側が投資信託には
あるのだという認識は
持っておいたほうがいい。
それを踏まえて、何を買うかは
あくまで自己責任。
何も買わないという選択肢に
比べたら、買うことをおすすめする。