日本の株式市場における
最高位に位置する東証1部市場。
ここに上場しているだけで、
企業の信頼度が抜群に高くなる。
そんなステータスが、今よりも
高い壁になるかも。
市場の種類
現在の日本の株式市場は、
細分化されており分かりにくい。
ここでは簡単に説明するので、
細かい部分はご自分で調べて
いただきたい。
まず、東京証券取引所が中心で、
それ以外にも札幌、名古屋、
大阪、福岡などに証券取引所が存在する。
だが、中心はあくまで東京にある
東京証券取引所なので、まずは
そこだけを知っておこう。
東京証券取引所の中にも、
市場がいくつか分かれている。
東証1部、東証2部、そして
JASDAQと東証マザーズ。
それぞれ上場するための基準が
異なっており、特色もある。
JASDAQとマザースは新興市場と
呼ばれ、大きく化ける可能性を
秘めてはいるが、その逆もある。
東証1部、2部ともなれば、
それなりの企業規模となり、
大きく化けない分、一気に
業績が下がる可能性も低い。
まぁ、簡単に言えばハイリスク・ハイリターン
を選ぶか、ローリスク・ローリターンを
選ぶかの違い。
上場する企業から見た市場の違い
先程までは一般的な市場の違いを
見てきた。
これが、上場しようとする
企業の目線でみると、一味ちがう。
例えば、あなたの会社があったとする。
順調に業績を伸ばして拡大する
うちに、「上場」を意識するようになる。
創業者にとっての「上場」は、
ひとつのゴールと言える。
自分の持っている株の価値が
何百倍、何千倍にもなり、
まずはひと財産が築ける。
それだけではなく、上場会社の
社長というステータスが
手に入る。
周りからは羨望の眼差しで見られ、
キャバクラに行けばモテる。
そんな立ち位置にあこがれ、
いざ上場を考えた場合には、
まずは新興市場となる。
新興市場の上場基準は甘く、
売上が1億円でも上場できる
場合があったりする。
売上が1億円というと、社員数で
10名程度の会社規模。
まぁ、様々な条件があるので
簡単とは言わないが、そこまで
ハードルが高いわけでもない。
そして一旦上場すれば、その後は
東証1部のステータスを目指す
ことになる。
会社の規模や条件を東証1部の
基準に合わせていくことで、
「指定替え」と言われる昇格を果たす。
だが、ここが見直されるという話。
なぜ見直される?
現在、最高ステータスである
東証1部の上場企業数は2131。
30年前と比べれば、実に
2倍の企業数となった。
東証からすれば、ちょっと増えすぎた
という印象なのだろう。
2000社も超えれば、東証1部の
希少価値も薄くなる。
なので、その数を減らすことで
東証1部のステータスを維持したい考えだ。
ゴールドカードを持つ人が
増えてきたので、ステータス価値が
低くなった、という感じ。
では、どう見直されるのだろうか。
ニュース記事によれば、大きく二つ。
ひとつは、時価総額の基準。
時価総額とは、発行株数×株価で
表される数字のことだ。
つまり、ある程度の規模がないと
東証1部としてふさわしくありませんよ、
というバーを引き上げる。
そうすることで、企業は1部にいくために
株数を増やし、株価を上げる。
株価を上げるためには、業績を
上げる必要がある。
そしてもう一つは社外取締役の
人数の割合。
社内の人間ばかりだと、不正する
ような企業になってしまう、という
観点だ。
コーポレート・ガバナンス、日本語で
言えば「企業統治」にあたるが、これが
しっかりしていないとだめということ。
この2点が見直される可能性が
高い、とニュース記事では言われている。
もしそうなれば、東証1部の企業数は
約半分にまで減ることになる。
別の言い方をすれば、東証1部の
約半分の企業が、2部に降格するということ。
では、そうなった場合には
どんな影響があるのか。
上場基準見直しで変わるもの
具体的な効果というか、影響を
見てみよう。
まずは、東証1部の銘柄で
構成される数字、TOPIXの
算出数字が変化する。
詳しい計算方法等は割愛するが、
TOPIXの数字が大きくなる。
すると、TOPIX連動型の
投資商品の価格に影響が出る。
上がるのなら買っておけば?という
そんな単純な話でもない。
まぁ、ここは複雑なので、TOPIXに
影響がある、ということだけ知っておこう。
あとは、1部の企業が減ることで、
外国からの資金流入の額が減る
ことが予想される。
海外の投資家は、日本の企業を
細かく知らない場合が多い。
そのため、最高位の東証1部の
上場企業に投資する場合がほとんど。
その投資先が、一気に半減する。
これはもう一大事だろう。
そうなれば外国人の日本株買いが
縮小され、日経平均株価の低下に
つながる可能性まで出てくる。
近い将来はあまりいいことは無いが、
将来的には東証1部のステータスを
勝ち取るために、企業が努力する
ような姿が思い浮かぶ。
まぁ、まだ決定事項ではない。
適用されるのは、約1年後の予定。
中身がどんどん変わっていくだろうが、
大まかには知っておきたい。