Yahooの信用スコアサービスが
7月から開始となる。
この信用スコアサービスとは
一体どのようなものか。
そして。実際にビジネスとして
成立するのだろうか。
信用スコアサービスとは
信用スコアとは、対象の人物の
信用度を数値化・ランキング化して
企業に活用してもらうサービス。
Yahooが提供する様々なサービスの
利用履歴などをもとに、その人の
信用度をつけていくというもの。
今までもクレジットカードなどの
利用履歴を活用した信用サービスは
存在している。
クレジットカードの支払いが
延滞なく利用されているか。
支払いが遅れたことはないか。
利用限度に対してどの程度の
利用をしているかなど。
その信用情報をもとに、新しく
クレジットカードを作成したり、
銀行の融資の際の審査に使われている。
今までのクレジットカードの
利用履歴だけではなく、Yahooが
提供する様々なサービスの利用履歴
もデータ化するというもの。
例えば、Yahooオークションで
どのようなものを購入しているのか、
どのような評価を受けているかなど。
キャッシュ・フローだけではなく
行動パターンや生活パターンなども
考慮した、総合的な信用を表す。
しかし、こんなサービスが開始すると
言いながら、実は問題視されて
いることも多い。
定着しないと思われている
信用スコアサービスの展開が
発表されたのは昨年の10月のこと。
それから、様々な企業との実証実験を
経て、7月からサービス開始となる。
だが、現在で実証実験を行った
企業数はわずかに4社。
あまり有力視されていない
サービスと言っていいだろう。
その理由は、いくつかある。
まず、情報が集まらないということ。
信用スコアの生成には、個人の
様々な利用情報、いわゆる個人情報を
提供することから始まる。
個人からすれば、様々な個人情報を
提供することに抵抗がある。
現在、個人の了承を得たもので
なければ、信用スコアとならない。
つまり、数が集まらないという問題。
これは、致命的といえる。
信用スコアサービスは、中国では
一般的に行われているサービス。
中国人は、個人情報の提供を
喜んで了承している。
これには、ひとつの大きな理由が
ある。それは、デポジット社会。
デポジットとは、何かを購入する
際に、先にいくらかのお金を
預けておくというもの。
国民性としてもともと信用のない
中国国内ならではの習慣で、
煩わしいが当たり前。
そんなデポジットが、信用できる
人に対しては取りませんよ、という
ことが可能になる。
信用できるかどうかを示す
ものが、信用スコアというサービス。
デポジットの手間を省けるという
利用者メリットがあるため、中国では
個人情報を提供して自らを
ランキングしてもらうということだ。
このモデルを日本にそのまま
当てはめようとしているが、
やはり無理がありそう。
なんといっても、日本人には
デポジットという習慣はあまりないし、
個人情報に関しても敏感になっている。
国民性の問題
中国だけではなく、アメリカでも
信用スコアのサービスは展開
されている。
クレジットカードを持たない
人の多くは、それ以外の情報で
信用スコアをつけて、審査基準としている。
金融機関からすれば、クレジット
カードの信用スコアがなくても
審査ができる。
日本にはクレジットカード以外の
信用情報がほとんどないので、
金融機関は別の審査基準を設けている。
それは、土地などの担保があるか
どうか、一定の収入があるかどうか。
逆に言えば、それらが無い場合には
審査基準がないので、融資はおろか
クレジットカードすら持てない。
だが、それが当たり前になっているので
今更それ以外の審査基準のために
個人情報を提供することに
抵抗がある。
YahooのIDを新しく取得する際に、
勝手に個人情報を提供することに
同意させられているという点にも、
多く批判が集まっている。
そんな状態で信用スコアサービスが
開始となったので、その有効性や
ビジネス展開には疑問符がついている。
Yahooだけではなく、LINEも同じように
信用スコア事業への展開を発表している。
さて、この事業はうまく波に
乗ることができるのだろうか。