3月の話ですが、マクロミルという会社が
再上場を果たしました。
再上場とは、一度上場廃止になった企業が
不死鳥のごとく再度上場すること。
さて、なぜ再上場するのでしょうか?
マクロミルの場合の経緯
3月に再上場したマクロミル(3978)の場合、
実際の流れは以下の通りでした。
既に上場していたマクロミルは、
アメリカの投資ファンドに買われます。
公開買付け(TOB)で買収された形となり、
上場廃止になりました。
そして投資ファンド傘下で経営改善を行い、
上場廃止から約3年の時を経て、再上場
することになりました。
なぜアメリカの投資ファンドが買収したのか
3年前に投資ファンドが買収した目的は
一体なんなんでしょうか。
投資ファンドとは、その名の通り
投資において利益をあげる会社です。
平たく言えば投資目的だったわけですが、
通常の株式投資ではなく、もっとガッツリと
儲けようという投資目的なんですね。
表向きにはマクロミル買収後に
財務体質の改善などを行い、よりいい会社にする
お手伝いをしたと言われています。
しかし、儲けがなければ、誰もそんなお人好しな
ことはしません。
投資ファンドは、マクロミル買収で約500億円を
使いました。
そして、再上場の際には、その倍くらいの
株価がついているので、単純に500億円以上の
儲けが出ていることになります。
500億円が2年間で1,000億円になる投資。
もちろん、2年間の間にいろいろやっていた
と思いますが、大きな儲けです。
投資ファンドというところは、
こんなことをして利益を出しているんですね。
投資ファンドがマクロミルを選んだ理由は?
投資ファンドも、やみくもに買収先を
選んでいるわけではありません。
ネット企業として新しい業種のトップ企業で、
もっとちゃんとした経営ノウハウがあれば
日本だけでなく全世界で戦える業種だと判断したんです。
少し例を挙げれば、町工場で家族経営の会社で、
すごくいい商品を作っているのに、
販売先が少なかったり、大量生産が出来なかったりと、
とてももったいないと思う会社があったとします。
そこへ、「うちがお金出すので、もっと儲けましょう」
と話をして、販路拡大や生産能力の向上を手助けします。
町工場は販路拡大のノウハウも無かったし、
そもそも大量生産しようとも思ってなかったので、
どうすればいいとかは全く分かりませんでした。
でも、そのノウハウもお金も出してくれて、
町工場はたちまち大きな会社になりました。
そして、「儲かったから、一部は
もらうね!」となるわけです。
とまぁ、こんな感じのことを投資ファンドは
しているわけですね。
再上場している有名企業
実は一旦上場廃止をして、再上場している
会社は結構あります。
有名どころで言えば、
・あおぞら銀行
・すかいらーく
・日本航空
などでしょうか。
いずれも、再上場の際には会社として
成長して戻ってきているわけですね。
企業としての再上場の意義
せっかく上場したのに、わざと上場廃止にする。
これって企業にとってはいいことなんでしょうか。
上場している企業は、様々な制約を受けます。
例えば、株主への告知義務や、株主への
株主招集通知などの発送など。
上場を維持するだけでもお金がかかります。
それに加えて、個人株主からも
様々な要望を受けたりします。
「ちゃんと利益を配当に回せよ!」
「そんな投資に回す金があるなら、
株主優待を手厚くしろよ!」
「今の経営陣だめだろ、交代しろよ!」
株主の意見は大切です。
だって、会社は株主のものですから。
でも、実際の経営の際には、企業として成長するために
新事業を計画したり、社員の給料をあげて
モチベーションを維持したりと、
社内でお金を使いたいことは多々あります。
そのたびに文句を言われ、挙げ句の果てには
株主総会で「それはダメだ」などと言われると、
思うような経営が機動的に出来なくなってきます。
上場廃止になれば、株主の数は一気に減ります。
マクロミルの場合も、投資ファンドが筆頭株主になり、
投資ファンドからしか文句を言われなくなりました。
そして成長するための機動的な動きをして、
安定したところで再上場を果たす、という流れです。
スポーツ選手が3年後のオリンピックのために
しばらくの間公式戦出場をしない、という感じです。
充電期間という感じですかね。
まとめ
再上場するということは、昔上場していたときよりも
良くなったということです。
企業も良くなっています。
そして投資ファンドも儲けが出ています。
「良くなったんだなぁ」と思っていればOKです。
今後の成長まで見込める状態であれば、
投資対象としてみても大丈夫ですね。