数々のM&Aで急成長を遂げて
いたRIZAPが、赤字に転落。
原因はM&Aで傘下に収めた
企業の赤字が拡大したからだという。
やはりM&Aは簡単ではない。
さて、その中身を見てみよう。
最近のM&A案件
RIZAPが近々でM&Aを行った
企業は複数ある。
基本スタンスとしては、赤字に
陥っている企業を買収し、経営を
改善する手法だった。
RIZAPと思惑としては、現状が
赤字でもその原因を根本から
変えれば、黒字化すると思っていた。
構造改革をすることで黒字化しそうな
企業を選定し、M&Aを行っていた。
ところが、そう簡単にはいかなかった。
しかも、赤字幅が拡大してしまった。
これにはRIZAP側も想定外で、
決算発表の場で代表の報酬の
自主返納まで発表された。
過去1年以内に買収した企業で、
CD・DVD・書籍販売店「新星堂」などを
展開するワンダーコーポレーション、
化粧品販売のジャパンゲートウェイ、
フリーペーパー制作の
サンケイリビング新聞社とぱど、
住宅会社のタツミプランニング――など
上記の企業が、赤字を改善出来ないまま
決算を迎えた格好となった。
改善の兆しは見えるのか
決算発表の場では、新規のM&Aは
一旦ストップし、傘下に収めた
企業の改善を優先すると。
更には、好調な事業にも資源を
集中し、企業全体としての利益を
確保するように動く。
そして、厳しい言い方も。
「事業の縮小・撤退、事業売却も
厭わない」と。
要は、せっかく儲かると思って
買ったものも、思惑と違って
儲かりそうにない場合には
切り捨てますということ。
M&Aも投資のひとつで、株と一緒。
購入した際には、当然ながら儲かると
踏んでの購入。
ところが、意に反して儲からない
場合には、手放すという内容。
株を買ったが下落したので、
損失を覚悟で売却。
あるいは、新店舗を開業させたが
黒字化しないので店舗をたたむ。
言い方を変えれば、失敗を認めて
損失を計上するということ。
人間本来の意思としては、
上がると思った株を購入すれば
そんな簡単には手放せない。
手放した時点で損失が確定するし、
もう少し時間があれば株価は
回復するかもしれない。
しかし、儲かりそうにないものを
早々に手放すのは、英断ともいえる。
赤字が拡大・継続する企業が
傘下にあればあるほど、グループの
足を引っ張る格好になる。
問題は損切りを断行出来るかどうか
RIZAPの売上は2000億円を超えた。
そして、赤字が33億円程度。
当初の予想からは、売上で191億円ダウン、
営業利益も230億の黒字予想から
33億円の赤字。
売上もそうだが、利益の振れ幅が
ちょっと大きい。
最近の株価も低迷していたが、
今回の決算発表を受けて、もう一段
売られるかもしれない。
いいときで1500円(途中で分割もしている)
の株価が、今は3分の1の500円程度。
今後の改善は、傘下に収めた企業の
再生、そして取捨選択。
口では言ったものの、撤退や売却は
簡単には出来ない。
勢いをつけていて、人気の銘柄にも
なっていた企業なだけに、今後の
改善には注目。