「上野動物園のジャイアントパンダ「シンシン」が
妊娠した可能性があると発表された5月23日午前、
株式市場で2社の株価が急騰した。」
こんなニュースが目に飛び込んできた。
今まで気にしていなかったが、
パンダの妊娠で急騰する株があるという。
株が急騰するということは、業績への期待か
買収案件か、不安の払拭か。
さて、この「2社」とはどんな会社か。
そして、なぜ急騰したのか。
急騰した2社は飲食店
その2社とは、飲食店だった。
一つは西洋料理店を経営する「精養軒」(9734)。
30億弱の売上だが、直近の決算では最終で1,600万円ほどの赤字。
ジャスダックスタンダードに上場。
もう一つは中華料理店の「東天紅」(8181)。
都内10店舗を含む合計20店舗を展開する。
67億の売上だが、なんとか300万円の黒字に
持っていったという感じの企業。東証1部上場。
パンダの妊娠と飲食店。
はてなマークが頭を飛び交う。
この2社の共通点は「本店所在地」だった。
急騰の理由は所在地
妊娠報道のあったパンダのいる動物園は
東京の上野動物園。
そして、この2社の本店所在地は
上野動物園からほど近い。
そう、上野動物園の来場者が増えれば、
近隣の飲食店の売上が上がる、という思惑。
確かに、人が多く流れれば、その場所に
存在するだけで売上が上がるだろう。
会社の戦略がどうとか、味がどうとか、
そんなものは全く関係無い。
いわゆる「特需」狙い。
そして、株価は急騰した後に
急降下した。終値こそプラスで引けたが、
思惑買いというやつ。
特需狙いの思惑買いは要注意
ニュース報道の直後に急騰して、その後急落。
思惑買いにありがちなパターン。
気をつけたいのは、短期売買での値動きに
翻弄されずに冷静に見ること。
確かに特需はあるだろう。
しかし、その特需が訪れるのは
しばらく先の話。
パンダが妊娠「しているかもしれない」報道で、
確定の話ではない。
仮に妊娠が確定しても、流産する可能性もある。
そして、うまく想定通りの出産があったとしても、
上野動物園が赤ちゃんパンダのことを考えて
「公開しない」という選択肢もあり得る。
そして、思惑買いで急騰する銘柄が
ニュースに出る時は、他のニュースが
あまり無いとき。
つまり、相場全体では方向感に欠け、
買い材料を探しているという状態。
短期売買を狙うとすれば面白い値動きだが、
長期的に保有する株かどうかの判断が
できる段階ではない。
冷静に業績動向をチェック
2社とも、直近の決算内容はいいとは言えない。
飲食店は水もの、とよく言ったもので、
廃りはやりも大いに関係してくる。
企業の業績を大幅に上げるためには、
新店舗の展開や客単価の上昇など、
長きにわたって業績に寄与する内容が
必要になってくる。
とはいうものの、パンダの妊娠で
株が急騰と報道されれば注目度も上がり、
広告効果としても期待出来るので、
決して悪くはない。
最終判断が難しいところだが、
優待や配当があれば、それを狙って
購入するのもいいかも。