郵便局を始めとする
日本郵政の株式の話。
日本国政府が保有する
株の一部が放出されて
株式上場を果たしたのが2015年。
今回は新たに追加売却を
行う。さて、これはどういう
こととして見ればいいのか。
今回の追加売却までの経緯
郵政民営化が公布されたのは2005年。
それから10年以上経過している。
郵政民営化、という言葉で
一応は民間企業という形になった。
しかし、その株主のほとんどは
日本国政府。
国の会社、と言っても過言ではない。
しかし、民間企業として見れば
その企業規模は200兆円を超える
資産を持つトップ企業となる。
2015年の上場時には、
政府の売却分は11%。
今回の追加売却分の
割合は発表されていないが、
段階的に、最終的には3分の2の
売却が法律で規定されている。
ちなみに、売却で資金を得るのは
日本国政府で、その調達資金は
東日本大震災の復興財源として
使われる。
追加売却で市場はどう動く?
追加売却後に株価が上昇するのか
下降するのか。
まぁ私の予測は大概の場合は
外れるので、予測ではなく
実績値で話をしよう。
例えば民営化したNTT。
公募価格は118万円弱。
初値は160万円を付け、
その後も株価は堅調に推移。
追加売却を5回に分けて行う。
しかし、時期も違えば価格も違う。
受渡期日(又は上場日) 売却価格 売却株数
第一次売出 1987年2月9日 1,197,000円 195万株
第二次売出 1987年11月19日 2,550,000円 195万株
第三次売出 1988年10月28日 1,900,000円 150万株
第四次売出 1998年12月18日 855,000円 100万株
第五次売出 1999年11月12日 1,666,000円 95.2万株
第六次売出 2000年11月10日 949,000円 100万株
まぁ、結論で言えば「分からない」。
相場なので、当たり前だが。
ちなみに現在のNTTの株価は
5,332円。
途中で株式分割などを行って
いるので、当時の公募価格との
単純比較はできないが、
半分以下になっている。
別の会社でもみてみよう。
JT(日本たばこ産業)などは
上場時(1994年)の株価と比較して
現在は約2倍。
JR東日本も上場時(1993年)の株価で
計算すれば現在は約2倍。
民営化された企業では
通信系のみが下がっており、
その他は上昇を続けている。
追加売却を論理的に
政府が売却する株数が未定だが、
1兆円規模の金額になるとの予測。
放出された株を購入するのは
法人を含む一般の投資家。
1兆円という現金が、株式に
変換することになる。
専門用語では「資金吸収額」と
いい、通常は新規公開時の話。
今回の追加売却は新規上場とは
異なるが、政府の持ち分を
売却するという性質上、
資金吸収にあたる。
株式相場全体でみてみよう。
毎月、直接の株買い注文や
投信経由での売買で、
資金の流入がある。
株式が上昇するということは、
安く買った人が高く売ったということ。
その差額が、株式市場の
時価総額を高めたことになり、
現金が入り込んできたことになる。
ちょっとむずかしい話になったが、
問題はここから。
今日100万円分の株を買おうと
した人がいたとしよう。
1万人いれば100億円。
日本郵政の追加売却がなければ
普通に銘柄を選択し、買い注文を出す。
株式市場には100万円という
金額が流入したことになる。
1万人いれば100億円。
ここに、日本郵政株の
追加売却の話が。
100万円のうち、仮に2割の
20万円を日本郵政に回したとする。
1万人なら20億円。
この金額は、本来は別の銘柄を
購入予定で、別の銘柄が上昇する
きっかけになっていた資金。
その資金が日本郵政購入資金に
充てられたので、別の銘柄は
買われる機会を失ったことになる。
一言で言えば、資金吸収額分が
株価上昇に歯止めをかける、と
言うことになる。
現在、東証だけで620兆円の
時価総額がある。
そのうちの1兆円分が
買われる、つまり上昇する機会を
失うことになる。
他の銘柄を保有している人にすれば、
あまり歓迎される話ではない、ということ。
日本郵政の株は買いなのか?
まぁ、これもあくまで勝手な
私個人の意見。
これを見て投資判断の参考に
するのは一向に構わないが、
責任は取らないのであしからず。
さて、結論から言えば「買い」。
しかし、短期ではなく長期で。
国が多くの株式を保有する。
いわゆる国営企業で、
潰れる心配はあまりない。
株価は今後の業績如何だが、
今がすこぶるいいわけではないので、
今よりももっと下はないかなと。
何よりも、配当が高い。
安定企業の3%を超える安定配当は、
やはり価値が高いと言えよう。
肝心の業績は、少しずつ
雪解けされる法律の縛りが
徐々に業績にも反映されて
いくのではないかと思う。
他にもいい話はあるが、
長期保有前提であれば
持っておいてもいい
んじゃないかと思う。
何度も繰り返すが、
投資判断はご自身で。