「日本海洋掘削、会社更生手続き
申し立て 負債約904億円」
こんな見出しのニュースが
出たのは、先週金曜日の夕方。
さて、何をしている会社か、
会社更生法に至るまでの経緯も
合わせてみてみよう。
日本海洋掘削という会社
まずは、この企業名、読めるだろうか。
「にほんかいよう・・・」
となる人も多い。
「掘削」は「くっさく」と読み、
その名の通り掘り削ることを
事業とする会社。
主となる顧客は石油会社で、
油田の権利を持つ企業から
請け負う企業。
特に海での掘削の請負で、
海上に浮かぶ石油基地みたいな
ものを運用する会社だ。
大ヒットした映画の「海猿」の
第二弾で舞台となった海上の
アレだ。分かるだろうか・・・
そして、企業規模も紹介しておこう。
従業員数は300人ちょっと。
東証1部の上場企業で、
売上は直近3年間で150億円から
300億円の間を行ったり来たり。
ただ、業界の先行きは
思わしくなかった。
受注はあっても、そこから設備を
作り上げ、運用が開始されて
初めて収益が上がる。
つまり、先行投資が大きくなる。
運用が続くことで予定する
収益となるが、投資回収までに
数年を要する業務内容となる。
そして、運用開始後も様々な
環境の変化が起こり、予定する
収益を確保出来なくなっていた。
会社更生法の適用を申請
そんな企業が、とうとう支払いの
資金を準備出来ず、会社更生法の
適用の申請を決定した。
さて、ここで念の為「会社更生法」と
「民事再生法」の違いを説明しておく。
大雑把な違いで言えば、
・経営陣が残るかどうか
・借金返済が続くかどうか
・株主の権利が残るかどうか
以上の3点を知っておけばいい。
会社更生法は、
・経営陣はすべて退陣、刷新される
・借金返済はストップ、場合によっては
棒引きされる
・株主の権利は無くなり、株券は紙くずに
となる。
ただし、会社更生法も民事再生法も、
企業活動は継続される。
この点は覚えておいて欲しい。
以上を踏まえて、今回の申請の
流れは以下のように想定される。
あくまで、勝手な想像に基づくが。
社長「やべー、次の支払い金ねーや」
取締役「やべーっすね。銀行ももう貸して
くれませんしねー」
社長「誰か金だしてくれるところ探そうぜ」
取締役「そーっすね、それしかないっすね」
3ヶ月後・・・
社長「どう?金だしてくれそうなところ
見つかった?」
取締役「いやー、見つからねっす。やべーっす。」
社長「まじかー・・・もうダメかー・・・」
取締役「そうっすね。じゃあ、民事再生法にします?」
社長「いやいや、このままじゃ再建できねーだろ。」
取締役「そーっすね。じゃあ、会社更生法にしますか」
社長「残念だけど、それしかないよなー」
まぁ、こんな流れだったのか
どうかは定かではないが、
3月末の決算報告では
なんとかします的な発言も出ていたので、
不本意な結末なのだろうと推測する。
株はどうなる?
会社更生法の適用の申請を受けて、
東証も日本海洋掘削の上場廃止を
決定した。
今日から1ヶ月間の整理ポストでの
売買の後に、上場廃止となる。
このニュースが出たのは金曜の
夕方なので、おそらく今日は
ストップ安となっているだろう。
1ヶ月の間に予想外の出来事が
起きない限りは、株主の権利が
無くなるので、持っている人は
売るしか無い。
ここで買う人は、短期のマネーゲームを
しようという人や、予想外の出来事を
期待している人だ。
ちなみに予想外の出来事というのは、
この企業を買収します、お金だします
という企業が現れたり、
もしくは筆頭株主でもある
石油資源開発などが資金注入を
行うなどの場合。
ありえない話でもないが、もし可能なら
会社更生法の適用前にお願いを
しているはずなので、確率は低い。
まぁ、一般投資家ですでにここの
株を持っている人は、諦めて売るのが
賢明だろう。
持っていない人も、整理ポスト入の
銘柄の売買に参加せずに、傍観するのが
いいだろう。
それでもハイリスクを理解しつつ
ハイリターンを狙う場合は、どうぞ。
あくまで自己判断で。