最近時々ニュースでクローズアップ
される、日銀の施策について。
簡単に言えば、目標を達成
出来なかったのに、そのまま
突っ走っている状況。
今一度、その内容と
日銀総裁の話をまとめておこう。
異次元緩和の内容
今から遡ること6年前。
現在の日銀総裁である
黒田氏が着任した頃の話。
当時の黒田総裁率いる
新生日銀に課せられたのは、
景気回復。
まあ、日銀はいつの時代も、
資金の供給量などを調整することで
経済を操作する事を考える機関だ。
そして、新しい総裁が着任したことで、
大きな舵を切った。それが、
「異次元金融緩和」と呼ばれる施策。
黒田総裁の発言は、
「量的にみても質的にみても、
これまでとは全く次元の違う
金融緩和を行う」というものだった。
簡単に説明すると、まずは量。
資金の供給量を、今までの2倍の
額まで引き上げます、という内容。
資金供給が増えれば、街中では
お金が余ることになる。
余るほどのお金があれば、それを
消費に使う、そうすれば消費が活発に
なり物がよく売れる。
すると、物の値段は上がり、
結果、物価上昇につながる、
という考え方だ。
そして、もうひとつは質。
今までは、日銀が資金供給を
する手段は、国債の購入が主体だった。
国が発行する国債を日銀が
買うことで、買ったお金は
政府が使える資金へと変わる。
政府は公共事業や補助金などを
駆使して、街中に仕事を作る。
仕事があれば、お金も回るし
人も回る。結果、各個人ベースでも
お金に余裕が出る人が増えて、
消費をするようになり、物価が上がると。
考え方は今までどおりだが、
最初の国債購入の部分に、
新しくETFの買い付けが追加された。
このことで、政府を通して
お金が街中に流れるのではなく、
株式市場の株価を押し上げる効果が
実際にあった。
この「量」と「質」が、今までにない
やり方で、このやり方で2年後に
2%の物価上昇率を達成させる、
という目標を掲げたのだった。
アベノミクスとも呼ばれた
この異次元金融緩和は、安倍首相の
掲げる金融施策にも合致した。
アベノミクスの3本の矢とか
言われたりもしたが、結果は
株価の大きな上昇を支えた。
株価が上昇すれば、含み益を
抱える投資家が増えて、儲かった
資金が消費に回るという考え方。
途中までは思惑通りだっただろう。
株価は上昇し、含み益を抱える
投資家が増えたことは事実。
しかし、それがそのまま消費に
流れたかと言うと、実際には
そうはならなかった。
結果、2年で2%の物価上昇率は
未達成となった。
消費に回らなかったことで
「この施策は失敗?」と思う人が
増えたが、日銀総裁はこういった。
「間違ってはいない。この方針を
そのまま推し進めます」と。
そして、物価上昇率が達成されないまま
異次元金融緩和は続行され、
資金供給量は2倍どころか4倍程度まで
増える。
そして、ETF買いなども続行され、
日銀が保有するETF残高は年々
増え続けている。
もともと2年という期間を目標に
掲げていた施策が、実に6年もの
間、未達成のまま継続していることになる。
取り沙汰される懸念
今の金融緩和がそのまま続く
ことで、いくつかの懸念がある。
ひとつは、日銀がETFを買い続けて
いるということ。
ニュース記事にもあったが、日本株式を
一番保有しているのが、日銀に
なりそうだという内容。
現在、一番の保有者は年金機構。
ETFを買うことで日本株式の
筆頭株主(一番多く持っている)となっている。
ところが、日銀が毎年数兆円の
ペースで買い進めているため、
近々には日銀が筆頭株主となると。
そして、現在の日経平均株価が
19000円を下回ると、日銀の
保有する資産がマイナスに転じると。
ある程度相場が下がれば、
すぐに日銀のETF買いが発動。
相場を下がらないように
資金を補充しているかの如く。
しかし、その買いが追いつかないほどの
下げに見舞われたら、どうなるのだろうか。
実際、ここ1週間の株価の
動きは悪い。というか、下げている。
原因は米中貿易戦争の不安から
だが、日銀が買い支えしているはず
なのに大きく下がっている。
もちろん、売っているのは
外国人投資家。
このまま株価が下落すれば、
日銀のマイナス資産にもなりかねない。
そして、そうなれば様々な関係各所から
批判が相次ぎ、日銀の金融緩和が
ストップするかも。
そして、日銀の下支えを失った
日本株は、奈落の底へ一直線・・・
想像したくもないが、可能性は
十分にあると思っておいたほうがいい。
それだけ、今の施策には諸刃の剣の
ように、失敗したときの傷も大きいと
前々から指摘があった。
今でこそそこまで表面化しては
いないが、ただでさえ2年でという
話が延長延長の繰り返し。
いつまでも異次元金融緩和が
続くとは思えないので、どこかで
ストップしたときの影響は
頭に入れておいたほうがいい。
まぁ、それを思うと投資が
怖くて仕方なくなってしまうが。
日銀施策に対するリスクは
しっかり理解して、準備しておこう。