キティちゃんで知られるサンリオが、
EU欧州委員会から制裁金620万ユーロ、
日本円で約7.5億円の制裁金。
キティちゃん、いや、サンリオは
一体何をしたのか。
業績への影響は?
サンリオという会社
さて、今回の主役になっている
サンリオという会社を見てみよう。
誰もが知るキャラクター、
キティちゃんの生みの親と
いうか、育ての親というか。
企業としては東証1部に
所属してはいるが、売上は
600億円前後と大きい方ではない。
だが、誰もが知るキャラクターな
だけに、その知名度は圧倒的。
そして、企業の利益の大半を
キャラクターの海外ライセンスで
稼ぐという一風変わった企業。
一言で言えば、キティちゃんの
会社と言っていい。
そんなキティちゃんの会社が、
EU欧州委員会から制裁金を
食らった、という話。
さて、その中身を見てみよう。
EU競争法違反
今回の制裁金の元になる
法律が、EU競争法というもの。
これは、日本でいう独占禁止法
に当たるもの。
つまり、この分野で独占的に
利益を享受し、他の競争する
企業の妨げになっちゃだめですよ、
という法律だ。
今回の話は、EU域内にて
ライセンスを提供していた
サンリオに対してのもの。
欧州の小売店に対し、サンリオの
商品販売にライセンス提供を
していたが、国をまたいでの
販売は禁止していた。
つまり、イタリアの小売業者に
販売を許可した際に、フランスで
販売まではだめですよ、というもの。
サンリオという企業からすれば、
ライセンスの料金を国ごとに
徴収した方が儲かるから。
国ごとに徴収するために、同じ
小売業社であっても、国をまたいで
販売する際にはライセンス料金は
それぞれに必要ですよ、としていた。
ところが、ネット販売が主流になる
消費の中で、越境の概念が薄れ、
特にEUという大きな一つの
経済圏では越境でも関係ないとしていた。
ちょっとわかりにくいが、要は
EUの立場とすれば、EUはひとつの
国としてみてね、というもの。
EU圏内では関税などが撤廃され、
国は違っても同じ国としてみてもらう
ことで余計な税金などを払わないように
するのが狙いだった。
当然、ライセンスなどもEUという
経済圏でひとつという内容で
いいだろ、という立場があった。
EUの立場とサンリオの立場が
真っ向から衝突した感じ。
そして、早い話がサンリオの方が
折れた結果になった。
以前より話があった?
実は、今回の制裁に関しては
2年ほど前から話があがっていた。
サンリオでは、EUからの事前の
通達に関して把握しており、
最初から従うスタンスをとっていた。
EUと喧嘩するよりも、EUに従うことで
EU圏の商売を継続させることに
利益があると判断したのだろう。
サンリオはEUの調査に全面的に
協力することで、制裁金の40%を
免れた。
この制裁による影響は、目先の
7.5億円の制裁金支払いもそうだが
欧州域内でのライセンス料金の
収益にも影響が出そう。
今まではイタリアとフランスのそれぞれに
ライセンス料金を徴収できていた
ものが、ひとつになったからだ。
ただし、ライセンス提供の仕方の
問題で、販売した分の○%を払ってね
という内容であれば、そこまで
大きく利益は下がらない。
サンリオとしては、目先のお金は
捨てるが、ストックとして入る
収益は持続させた格好だ。
7億円の制裁金に関しても既に
織り込み済みの様子なので、
業績に与える影響はそれほどでは
ないだろう。
一時的に株価が下がることは
あるかもしれないが、そこまで
致命的なものではない。
キティちゃんファンではなくても、
サンリオの株を投資対象に考える
方は、内容は熟知しておこう。