銀行の振込システムが変わる。
前々から言われてきたが、
その稼働が9日よりスタート。
この新システムにより、
何がどう変わるのか。
今までと何が違う?
今までは、銀行の営業時間を
過ぎてからの振込処理は、
翌日扱いとなっていた。
インターネットの普及により
振込作業も簡易になっている。
しかし、ネットでの振込作業も、
一定の時間内に行わなければ、
実際の振込は翌営業日になる。
企業の経理担当社が振込処理を
少しでも遅れれば、相手先への
入金が翌営業日に回ってしまう。
今まではそれが当たり前だったが、
当然ながら苦情も出ていた。
「企業の営業時間が3時過ぎに
終わるなんてことはない」
「なぜ銀行の決めた時間に
従わないといけないんだ」
苦情はあっても、どうすることも
出来なかったこのシステムが、
やっと大きく変化するのだ。
経理担当社が夕方に作業をしても、
その日のうちに相手先に振り込まれる。
たったそれだけのことだが、
それが今までは出来なかった。
銀行の基幹システムとなる
勘定系システム。
各銀行でベンダーが異なり、
メーカーが違う。
そんな基幹システムを、
ひとつのシステムにつなげて
振込を行っていた。
ちょっとイメージしにくいかも
しれない。
各銀行が運用するシステムを、
乗り物に例えてみよう。
通常の業務をこなすために、
メガバンクは新幹線。
地方銀行は車、規模の小さい
銀行や信用金庫は、自転車。
中には、三輪車に乗る銀行も。
それだけ、各銀行により
違いがあった。
各銀行がどんな乗り物であっても、
中央に存在する駅にたどり着けば、
そこでは各銀行につながっており
送金できるシステム。
この駅さえあれば、乗り物が何であれ
駅にさえたどり着くようにしておけば
他の銀行とつながることができる。
その中央駅を運営しているのが、
全国銀行協会というところだった。
問題もあった
どんな乗り物でも接続可能に
することで、利便性は高まった。
信用金庫から都市銀行への
資金移動が可能になった。
ゆうちょ銀行から地方銀行への
資金移動が可能になった。
中央駅は24時間空いているが、
そこに接続される各銀行の
乗り物が、15時で動かなくなる。
そうすると、ひとつの銀行が
24時間いつでも自動車を
動かします、といっても
送金先の新幹線が動いていないので
送金が出来ない。
そんなこんなで、24時間稼働は
夢のまた夢となっていた。
今回は、そんな各銀行のわがままを
統一させたという、実はすごく
大変なことなのだ。
ただ、大変なわりには消費者に
とってそこまで利便性が高まる
ものでもない。
24時間の即時振込が出来たから
といって、何がどう変わるのか。
企業側からすれば入金の確認作業が
深夜でも可能になるなど、メリットは
あるだろう。
しかし、消費者とすれば、振込をした
ときにそれが即時だろうが翌営業日だろうが、
そこまで利便性が変わるものではない。
では、なぜ各銀行の意見を統一
させてまで変更させたのか。
銀行収益を圧迫していた
今までの振込送金のシステムは、
前述したとおり中央駅を必ず
通っていた。
その際に、中央駅の利用料金が
必ず取られていた。
この利用料金が、銀行の
収益圧迫要因となっていた。
例えば、1万円を振り込むときに
かかる手数料が324円だったとしよう。
本来、そのすべてが銀行の収益と
思われがちだが、銀行は中央駅の
利用料金をその都度支払っている。
そのため、銀行の収益は
324円ではなかった。
さらに、コンビニのATMなどで
お金をおろしたりする場合も、
データは一旦は中央駅にいく。
コンビニに手数料を支払い、
中央駅にも手数料を支払う。
しかし、利便性をあげるために
消費者への手数料を無料にしたり
すれば、まるまる銀行の赤字となる。
コンビニATMの存在がここまで周知され、
今更高い手数料をとるわけにはいかない。
そんな理由があっても、銀行は
改善すらできなかった。
今回のシステム変更では、中央駅の
リフォームのようなもの。
中央駅の利用料が無料ではないが
格段に安くなり、銀行側にとっての
メリットは大きな物となった。
このシステム変更により
銀行の収益構造に若干の変化が。
厳しい経営環境の銀行にとっては
明るい兆しとなるのか。