4月10日、イオンが決算発表を行った。
その内容は、決して悪くはない。
それなのに株価は下落中。
なぜ?そして、復活はするの?
決算発表の内容
10日に行われた決算発表では、
売上高に相当する営業収益は
前期比1.5%増の8兆5,182億円。
本業の儲けを示す営業利益は
同0.9%増の2,122億円と、
過去最高益を更新。
前年と比べて割合はわずかだか、
分母が大きいのでまあ成長して
いると見るべきだろう。
にもかかわらず、
株式市場は厳しい視線を送る。
決算発表前に、実は業績の
下方修正を発表したりもしていた。
そして、2年前にイオンのトップから
発表された、3カ年計画というもの。
営業利益を2900億円までもっていく、
という目標を掲げていたのだ。
にもかかわらず、3年目、まさに
3カ年計画の集大成とも言える
次年度の営業利益目標が、何と2300億円。
3年前の目標は1年前倒しで諦めるのかよ!
という感じの株主のご意見だろう。
会社側は、米中貿易摩擦や
消費税増税など、消費者マインドに
とってマイナスが続くから、と説明。
外部環境が落ち込めば、
業績も落ち込みますよね?
と言っている。
まあ、分からなくもないが、
集大成の年度が始まる前から
諦めるというのはいかがなものだろうか。
現実を見つめた冷静な意見と
言ってしまえばそれまでだが。
イオン全体で見ると、厳しいか
イオンと聞いて、ほとんどの人が
スーパーや複合施設を、思い浮かべるだろう。
イオンの中核とも言える事業。
それが、GMSとSM事業。
決算発表や新聞記事でもちょくちょく
使われるこの言葉は、覚えておこう。
SMは、スーパーマーケットの
頭文字。食品を販売する事業。
そして、GMSとは、
ゼネラル・マーチャンダイズ・ストアの頭文字。
それでも分かりにくいが、
ゼネラルは直訳すると全体的な、
という意味。
マーチャンダイズとは、
商品の売買という意味。
つまり、食品に限らず全体的な
商品を売買するお店、という直訳。
分かりやすく言えば、
何でも売ってるお店、という感じか。
イオンと聞けば誰もが頭に
浮かべる、まさに中核を担う事業だろう。
ところが、この中核事業が
実は良くない。前年に比べて
売上も利益も下げている。
足を引きずった中核事業の
穴埋めを行なったのは、
海外展開する事業らしい。
良い言い方をすれば、多角化の経営を
していたからこそ中核がコケても
全体のプラスを保った。
だが、悪く言えば中心の事業が
好調にならないと、企業体質として
大丈夫かと思われる。
あるラーメン屋が、ついでに作った餃子が
良く売れたが、メインのラーメンは
注文が減った、という感じ。
イオン復活は?
決して悪くない企業。だが下落中。
さて、今のうちに買うべきかどうか。
まずは良いところ。
先程も述べたが、多角化経営により、
中核で多少転んでも全体では伸びる可能性が高い。
個人株主にも人気の銘柄で、
株主優待の株主カードなんかは
いつもイオン系列でお買い物を
する方には人気。
そもそも巨大企業なので、
ちょっとやそっとでは
揺るがない屋台骨。
そして、業態の特色としても
現金商売なので、金回りがいい。
さて、それでは悪い点を挙げてみよう。
スーパーは、各地域で勢力を
伸ばす地方勢の競合が成長を見せている。
地方スーパーの力が増せば、
大手の売上は減る。
そして、中核事業の今後の
目覚ましい成長が期待出来ない。
ものすごく売上が落ち込むことは
ないだろうが、逆に化ける可能性も
あまりない。
安定していると言えば聞こえはいいが、
投資案件という目線で見れば、面白みが無い。
主婦にはウケるが、投資家には
人気がない銘柄という感じか。
その辺を考慮して、投資判断を
してみよう。もちろん、自己責任で。