ゆうちょ銀行が新規業務として
金融庁や総務省などに認可を求めて
申請書類の提出を行っている。
申請を受けた省庁は、独断で承認を進めずに
郵政民営化委員会の意見を求めており、
「特に大きな問題はない」と表明されている。
個人向けに一人50万円という枠で、
決して大きな融資ができるわけではない。
しかし、着実に進む融資業務の幅。
普通の銀行と同様の業務レベルにまで
進むことになるのか。
ゆうちょ銀行の融資業務申請の経緯
実はゆうちょ銀行、融資業務を含めた
新規業務の申請を4年以上前に行っていた。
その内容は、
1、住宅ローン
2、法人向け融資
3、損害保険の取扱
の3種類。
しかし、金融庁及び総務省から
いいともダメとも返答が来ていなかった。
政府の表向きの見解としては、
「融資は審査が必要で、郵便局には
十分な審査能力が備わっているのか?」
として、結論を出していないという。
4年間もほったらかしにされたゆうちょ銀行は
しびれを切らして、別の内容で申請を行った。
それならいいんじゃね?とのことで話が進み、
今まで出していた申請を取り下げたという。
結論が4年も出ない?なんで?
さて、4年間もほったらかしの結論、
通常ではあり得ないこと。
ダメならダメと通達すべきだろう。
条件が整っていないなら、
「こうすればいいよー」と
条件付きで通達すべきだと思う。
しかし、何の結論も無し。
これには少し裏がありそう。
実は郵政グループの民営化(上場)において、
強い反対勢力があった。
民間の銀行業務を潰すことに
なるのではと、民業圧迫を言われていた。
それでも小泉政権化で断行できたのは、
解散総選挙による民意の決定だったから。
なんとか民営化にこぎつけはしたが、
民業圧迫は言い続けられた。
簡単に言えば、国が作った組織が
商売を始めたら、民間企業がやっていた
収益源を取られることで、民間企業が
厳しくなるじゃん!ということ。
この銀行の団体による反対圧力が
あったのではないかと思う。
銀行団体の「俺らの話を無視するんか!」
に対して、強く出れなかったのではないか。
まぁ、「融資業務」というお金さえあれば
儲かる業務を横取りされるのはつらい。
ましてや、ゆうちょ銀行は資金量は豊富。
メガバンクにも匹敵する。
そんな状況下で一筋の光
様々な圧力のもとで、今回は制限付きではあるが
個人向けの融資が解禁される流れ。
徐々にこの制限が解除されていくだろう。
険しい道のりなのは間違いなさそうだが。
民間の金融機関は、少しずつだが
業務を喰われることになる。
ゆうちょはもともと、民業圧迫と言われないように
預金量の上限が1,000万円までと言われていた。
融資業務も一切出来なかった。
それが、預金限度額が3,000万円まで
引き上げられ、今回は融資業務も
一部開始される。
徐々に民間銀行に近づいてきており、
完全に民間銀行と同じ業務ができるように
なれば、資金量や窓口数などで
金融業界を圧倒するものと推測される。
今まで煮え切らない態度だった
金融庁と総務省も、やっと動いた。
勝手な推論だが、国としては
早く認可して民間銀行の仲間入りを
させて、完全民間企業にしたいと思っている。
でも、早々に認可すると関係団体から
文句を言われるので、文句を言われない、
もしくは言いづらい状況を作って
徐々に認可していこうと考えたのではないか。
「民営圧迫を懸念して、結論を出さなかった
んだけど、さすがにいつまでもこの状態だと
他のところから文句でるし。
こんな内容ならどう?って言われたので、
今回はこれで認可しようと思ってるけど、
文句言わないでね、民間銀行さん。」というところか。
新規業務として融資業務を行いたいゆうちょ銀行。
自分たちの狩場が荒らされることを恐れる銀行。
その板挟みの国。
投資先としては?
ゆうちょ銀行は、認可次第で収益が大きく
変化すると思われる。
上場する際にも、認可されることが前提で
ちやほやされていた。
国の認可次第というリスクはあるが、
まずはその第一歩を踏み出したことは、
今後の流れに拍車をかけるのではないか。
逆に、地方銀行は厳しい現状が続きそう。
ゆうちょ銀行の民間業務参入もあるが、
マイナス金利での利ざや減少や
運用による損失計上など、あまりいい話を聞かない。
銀行業界全体が大きな岐路に立たされて
いるが、大きな転換点こそ投資タイミング
として見ることができる。