牛丼大手の吉野家の
第3四半期の決算発表の
結果を受けた記事があった。
その記事によれば、8年ぶりに
赤字に転落したんだとか。
業界全体が落ち込んだのか。
ちゃんと内容を把握しよう。
吉野家ホールディングス
言わずとしれた牛丼大手老舗。
どこでも見かけるし、食べたことが
ある人もおおい。
店舗数は全国で約1000店舗と、
42の都道府県で割れば1県あたり
23店舗がある計算となる。
売上高はグループで約2000億円。
牛丼といえば、吉野家、というくらいの
ブランドと地位を確立させている。
遠い昔の話だが、人気漫画「キン肉マン」
でも実名で登場しており、「美味い、安い、
早い」の3拍子を掲げていた。
そんな外食産業の優等生ともいうべき
吉野家HDが、第3四半期で赤字に
転落したという。
ここで注意したいのは、あくまで
第3四半期。
企業の本決算は1年単位で、
3ヶ月ごとに情報の開示が
義務付けられている。
その、3回目。
つまり、まだ途中ということ。
ただ、その途中の段階ですでに
前年同時期と比べて下がっているので、
通期に与える影響はもちろんある。
吉野家HDは、通期業績については
そのまま据え置いている。
これは、「今は悪いけど、予想通り
の展開ですよ」を意味するもの。
まぁ、強がっているだけと
捉える人もいるが。
牛丼業界が悪い?
牛丼がそもそも食べられなく
なったのだろうか。
当然ながらそんな疑問が湧くが、
それを否定するように同業他社の
好調ぶりが書かれていた。
すき家を展開するゼンショー
ホールディングス。
前年同期と比べても着実に売上
及び利益を出しているんだとか。
じゃあ、牛丼が悪いわけではない。
そして、実は吉野家も売上は
伸びている。
売上は伸びているのに赤字。
そう、経費が膨れ上がった結果だ。
吉野家HDの決算発表資料にも
書かれているが、原材料費の高騰や
人件費の増大が収益圧迫の要因だとか。
すき家は同じ状況にもかかわらず
利益を出しているのに、吉野家は
赤字転落。
これはもう、経営手法の違いと
言わざるを得ない。
コストダウンが同業に比べて
下手、と言ってしまえばそれまで。
おそらく吉野家にも言い分はある。
原材料に関しては、こだわった部位を
使うことで味を変えないことを
前提にしている。
人件費を抑えないのは、お客様サービスの
低下を招かないため。
つまり、「昔ながら」を通したので、
仕方がないという話だろう。
だが、株主目線でいえば、売上は
維持したままで利益を出せよ、と
言いたくなる。
今後の展望は?
吉野家HDの復活はあるのか。
まぁ、通期業績は据え置いたので
自信はあるのだろう。
株価も多少は落ちたものの、
その後は回復を見せている。
売上が減少している場合に比べて、
利益だけの問題であれば、今からでも
コストカットは可能だからだ。
過剰なコストカットによる
サービスや味の低下を招かない
ように経営している、といえば、
聞こえはいいだろう。
終わってみないとなんとも
言えないが、長らく続いている
吉野家は、なんとかしてくるだろう、
と勝手に思っている。
もちろん、投資判断は自己責任で。