アパレル大手のワールドが、
再上場するというニュース。
ワールドといえば、様々な
ブランドを展開するアパレル大手。
再上場ということだが、
上場廃止になった経緯から、
再上場するまでの軌跡を見てみる。
ワールドの上場
創業は1959年と、歴史ある企業。
神戸で産声を上げた。
婦人服卸からスタートした同社は、
順調に業績を伸ばし、1993年には
大阪証券取引所に上場を果たす。
その後、1998年には東京証券取引所の
第二部に上場し、翌年には1部へ指定替え。
ところが、2005年に上場廃止。
このときの上場廃止の理由は、
経営陣による買収。
いわゆるMBOだ。
少しMBOについて解説しておこう。
MBOとは、マネジメント・バイ・アウトの
頭文字を取ったもの。
既に上場している企業は、誰でも
その企業の株を買うことが出来る。
株式市場で株を買い進めれば、
その企業の経営権も取得出来る。
2005年当時、企業買収が流行っていた。
ライブドアによるニッポン放送の
買収劇も、ちょうどこの時期。
上場企業は、上場することで
いつでも買収の危機にさらされている
という事実に気づく。
しかし、一旦上場していると、
多くの株主が存在しているので
簡単には上場廃止が出来ない。
それでも買収の危険から逃れるためには、
上場廃止となることが一番の近道。
そこで、上場企業が自ら上場廃止に
なる手段として、このMBOが存在する。
経営陣、というか自社で市場に出回った
株を買い集める。
既存の個人株主等に、「今持ってる
ウチの株、売ってくれない?」と
買い集めるのだ。
そして自社が保有する株式が
全体の95%を自社で保有することで、
東京証券取引所が定める
「上場廃止基準」に抵触させるというワザ。
株式流通量が5%未満になると、
上場している意味が無いよね、
ということで上場廃止になるのだ。
かくして、2005年にはワールドが
MBOによる上場廃止となった。
MBOをした理由
表向きには「長期的、持続的な
企業価値の最大化を図るため」という
ちょっと意味不明の理由。
まぁ、平たく言えば
自分らだけで頑張るし!
ということか。
真意を辿れば、経営陣の
「うち買収されるとか
嫌だな」ということだ。
当時、いくつかの企業が
このMBOによる上場廃止を
行っている。
創業一家が、買収されることで
会社を手放したくない、という
理由がほとんど。
そして、そう思う理由に
企業価値が十分あるのに
株価が低い場合。
専門用語でPBRという指標がある。
これは、別名を「企業の解散価値」
と呼び、これが低ければ実際の
資産価値と比べて株価が低いということ。
お金を持っている人がある企業を
買収し、その企業の資産をすべて
現金化すれば、買収した金額を
上回るというもの。
そんな企業は、お金を持っている
輩にターゲットにされる。
そう少し簡単に言えば、儲かっているのに
株価が低い企業は、狙われるということ。
当時のワールドも、自社ビルなどを
保有するなど資産価値がそれなりに
あった。
そんなこんなでMBOまで行って
上場廃止にしたのに、今になって
再上場するのはどうしてだろうか。
再上場の理由は様々
上場する理由はいくつかある。
だが、一番大きい理由は、
資金調達だ。
ここからは勝手な妄想に
他ならないが、おそらく
アパレル業界での大きな変革が
理由ではないか。
現在、ネットで簡単に洋服が買える。
わざわざ店舗に出向く必要もなく、
人件費も家賃もかからないので
安く買える。
そうなれば、人件費や家賃を
かけている企業は苦しい経営になる。
ワールドは様々な店舗展開を
行っているが、おそらくは既存店舗の
売上が減少したのではないか。
そして、時代の流れに乗るために
ネットへシフトしているが、
思うように進まない。
業績は悪化し、資金循環も
よくなくなる。
まぁ、あくまで推測の範疇を
でないが、もしそうなら
再上場する同社の株主に
なることへのためらいがある。
大きな資金調達を行い、
大きな事業発展に向けた
先行投資なら面白い。
だが、既存事業を継続させるための
運転資金として、という意味合いであれば、
同社の株価が上昇していくことは
難しいのかもしれない。
まぁ、同社の発表や目論見書が
出されるまでは、内容はわからない。
少し注意して見ておく必要が
あるだろう。