孫正義率いるソフトバンクグループが、
過去最高額の5000億円の社債を発行する。
ソフトバンクと言えば、
大きな投資を行うと
宣言したことでも有名。
社債発行って、
いいことなのか、悪いことなのか。
企業目線で見ると?
社債は、いわば会社の借金。
社債を買うということは、
その企業にお金を貸すことを意味する。
借りる方の企業は、銀行から借りるのか
個人や企業から借りるのかの違いなだけで、
金利をつけて返す必要がある。
借りやすいのは銀行だが、
高額になればなるほど
銀行のリスクも上がる。
銀行が貸し渋るようになれば、
それ以上の借入は社債で行う、
という流れだ。
同じ借金にはなるが、ある程度
まとまった資金を用意する手段
として有効なもの。
社債の発行はそれなりに
行われており、月に50案件程度
新しく発行されている。
証券会社などが発行を引き受け、
一般投資家に販売するという
形式を取る。
証券会社は、一定の手数料を
受け取ることになり、その手数料を
支払うことになるのは発行企業。
そのため、発行手数料が1%だったと
しても、5000億円の社債であれば
50億円の手数料収入となる。
ソフトバンクグループは、それほど
お金に困っているのか。
困っているわけではない。
今回の社債発行による資金の
調達は、既に発行している
社債の償還を迎えるので大きな
支払いが発生するからだ。
簡単に説明すると、100億円を
社債発行して2%の金利を払うとする。
年間で2億円の金利を支払うことに
なり、5年後に償還と設定すれば
合計で10億円の金利支払いが発生する。
しかし、年間2億円で手元資金100億円を
手にすることができる。
仮に100億円を5%の金利で運用
したとすれば、年間5億円の利ざやを
稼ぐことになり、年間3億円を
原価無しの純粋な利益として受け取れる。
そして、償還期限がくれば、それを
返還するだけ。
年間3億、5年間で15億円。
5%での運用ができれば、
もうそこには儲けしかない。
貸す方のメリットは?
今回のソフトバンクグループの
社債は、個人向けの社債。
17年3月に4000億円、
18年6月に4100億円の社債発行も
個人向けとして調達してきた。
6年償還の社債で、利率は年利で
1.3%〜1.9%の間で決定される。
銀行の預貯金に預けていても
ほぼ利息がつかない時代。
年利1%でも「いい」と思って
買う人は多いだろう。
当然ながらリスクも存在する。
社債の場合は、倒産リスクと
流動性リスク。
ソフトバンクグループが倒産すれば
貸したお金は返ってこない。
そして、6年間という期間は
基本的には資金を拘束される。
この2点のリスクさえ理解して
おけば、銀行よりも断然いい
金融商品と言えるだろう。
ソフトバンクグループは大丈夫?
つい最近の出来事で言えば、
携帯キャリアのソフトバンク
子会社を上場させた。
過去最大級の上場スケールで
このときも多額の資金調達を
行ったことになる。
そして、ソフトバンク・ビジョン・ファンドと
呼ばれる投資ファンドを通じて、
世界各国の様々な企業に投資している。
投資先の企業が儲かれば、投資した
金額が何倍にも膨れ上がる。
逆に、投資先企業が鳴かず飛ばず、
下手すれば倒産なんてことになれば、
投資したお金は戻ってこない。
孫正義の先を見る目を信じれば、
ソフトバンクグループは今後も
さらなる成長を遂げるだろう。
一方で、行き過ぎた投資に疑問を
持つ声もある。
借入総額が18兆円近くになり、
金利支払いだけでも年間で
5000億円になる。
ソフトバンクグループが年間で
稼ぎ出す利益が1兆円程度なので、
金利支払いだけで半分がもっていかれる。
給料20万円の人が、借金の利息
支払いだけで10万円持って行かれる状況。
まぁ、規模が全く違うので
なんとも言えないが、普通の企業なら
財務体質に問題あり、とされるところ。
投資判断は自己責任なのは
いつもどおりだが、私なら買わない。
期待するなら株を買うし、
期待しないなら買わないし。
勝手な個人の意見なので、
是非自分で考えてみていただきたい。