プロ野球パシフィック・リーグの
埼玉西武ライオンズ。
一昔前は、「埼玉」がつかない
「西武ライオンズ」だった。
特筆すべきは、母体である
西武鉄道の西武HDに
外資系ファンドが入り込み、
球団売却を要求していた話。
当時は大きなニュースにも
なっていたが、今では懐かしい限り。
そして、その軌跡がピリオドを
打つことになった。
外資系ファンドとの攻防
もとを辿れば、西武HDの経営悪化。
有価証券報告書への虚偽記載から
上場廃止となり、苦しい状況にあった。
そこに1,000億円もの再建資金を
提供したのが、アメリカの投資ファンド
である「サーベラス」だった。
アメリカの年金運用なども手がける、
ちゃんとした投資会社。
もちろん投資の目的は利益で、
1,000億円で買った株式を
再上場させることで価値を上げ、
売り抜けることを考えていた。
資本投下した後は、経営再建のために
西武HDとともに仲良く頑張った。
企業体系から業績改善までを
進め、やっとの思いで
再上場が見えてきた。
そこで軋轢が発生した。
サーベラスは、再上場させる際に
もっと株価を上げたかったので、
より収益性の高い企業にしようと思った。
そして提案したのが、
「不採算路線の廃止」と
「球団の売却」だった。
企業として考えれば当然のことだが、
この提案に対しては、地元住民や
野球ファンからの反発が出る。
西武HD側も「それはちょっと・・・」
と難色を示したため、
サーベラスは敵対的買収と思える
TOB(公開買付け)を行う。
結果としてはTOBは不成立となるが、
成立していれば球団が売却されて
いたかもしれないという事実に、
世間に大きな波紋を呼んだ。
再上場を経て
再上場時の公開価格は1,600円。
再上場から3年ほど経過しており、
一時は3,000円を超える株価だった。
サーベラスは、出資金を計算すれば
買付け価格が1,000円程度。
十分に利益が出ると思われたが、
8年にも及ぶ再建に費用を費やしている
ので、少なくても2,000円以上で
売り抜けたかった。
公開価格での売却はせず、
順調に株価が推移して高くなった
時に売ることにした。
そして昨日、すべての株式を
売却していることが判明。
資金注入から実に11年。
西武HDにとっては助け舟を
出してくれた救世主。
サーベラスからすれば、
思惑通りの利益を上げた
友好企業。
途中の険悪な状況はあったにせよ、
結果は理想的な展開で終えた
と言えるだろう。
サーベラスという会社
救世主となったサーベラス。
西武HD以外にも、日本の企業で
出資をした会社はいくつかある。
投資対象のほとんどは経営悪化で
大変な思いをしている会社で、
救世主となっている。
今回の西武HDの株式売却により、
日本企業の株式の保有は無くなった
(らしい)。
これで、事実上の日本からの
撤退となる(らしい)。
あまり表に出てこない情報なので
不確かなところではある。
事実であれば、今後国内で
サーベラスの名前を聞くことは
無いのだろうか。
撤退の理由は、投資対象としての
旨味が感じられないのか。
それとも、「日本ってじゃまくせぇな」
と思ったからなのだろうか。
なにはともあれ、西武ライオンズファンは
サーベラスという会社の名前は
忘れることは出来ないだろう。