石油産出国のトップに
君臨する、サウジアラビア。
その国営企業が上場を検討している、
という話が出てから数年が経過している。
最新のニュースでは、上場先候補として
東証が落選した、というもの。
さて、内容を確認してみよう。
サウジアラビアの国営企業
ニュースとなっている会社は、
サウジアラビアの国営企業である
サウジアラムコ。
石油採掘・販売を手がける企業で、
収益は国営なのでサウジの
国に入ることになる。
企業規模は”とても”大きく、
その大きさはケタ外れ。
現在上場している企業で
もっとも時価総額が大きい企業は
アップル。
そこに、グーグルを傘下にもつ
アルファベットや、Amazonなどが
追随している。
ちなみに、日本企業で最も
時価総額の大きいトヨタ自動車は、
世界で約40位前後となる。
サウジアラコムは、世界最大の
時価総額を誇るアップルの約4倍。
まぁ、とにかくでかい。
それ故に、この企業を欲しがる
証券取引所が多いのだ。
証券取引所がラブコールを送る理由
さて、話を理解するためには
証券取引所の仕組みを知る
必要がある。
そもそも、証券取引所の
ビジネスモデルを理解する
必要がある。
簡単に言うと、証券取引所は
上場している企業の株が
買われたり売られたり、つまり
取引されればされるほど手数料が入る。
なので、取引所としては
取引が多く行われそうな企業が欲しい。
それは、話題の企業であったり、
今後の業績拡大が見込めそうな
企業だったり。
そして、取引するのは
日本人ばかりではない。
海外の投資家も、日本の
証券取引所を通じて株を売買する。
世界的に有名な、そして大規模な
企業が上場するとなれば、必然的に
取引量が増えることになる。
そして今回のサウジアラコムは、
取引所史上において最大の規模となる。
上場を検討している側のサウジアラコムは、
世界のどこの取引所に上場しようか
悩んでいる真っ最中。
なので、各国の証券取引所は
この企業の誘致合戦をしているのである。
「ウチで上場してくださいよ、
いい条件だしますんで・・・。」
といった感じ。
日本は、証券取引所のトップはもちろん、
日本のトップである安倍総理からも
サウジの王子に営業を仕掛けたりしている。
さて、今回のニュースの内容は・・・
アメリカのロイター通信が
「東証落選」の報道を行った。
どういう経路での情報かは
不明だが、サウジアラコムの
上場候補として以下の3つが
残っているという。
・アメリカ・ニューヨーク証券取引所
・イギリスのロンドン証券取引所
・中国の香港証券取引所
ニューヨークは世界最大の取引所。
世界から資金が集まる。
ロンドンは老舗の取引所。
ヨーロッパでの取引所の代表格。
そして、香港証券取引所は
中国国内からも容易に投資できる
ように連携されている。
世界最大の人口を誇る
中国人マネーを狙ったものだろう。
こうしてみれば、3つの取引所は
妥当なところといえそう。
東証は、書類の多さや規制の関係で
候補から外された、との報道も。
もともと不利だと言われており、
それでもトップセールスで
挽回しようとしていたのだ。
まぁ、環境をみれば
致し方ないと言えるだろう。
日本人としては残念
さて、個人的な感想を。
日本にいながら石油王の会社の
株を買えるようになるかも、
という話が困難になった。
正しくは、買いにくくなった、
ということ。
ニューヨーク証券取引所などに
上場すれば、海外株としての
購入は可能になるからである。
ただ、日本株と比べて
買うまでの手続きや
売る際の計算なども煩雑。
買うためには一段高い
ハードルを越える必要がある。
今回の報道はあくまで決定した
事実ではないとされているが、
果たしてどうなるのか。
とにかく、世界最大規模の
会社の上場が間近にある、
ということは覚えておこう。