昨年9月に発覚した、日産自動車の
無資格審査の問題。
問題発覚後も無資格審査を
続けていたとされ、イメージダウン
も避けられない。
昨年末までの損失が計上されたが、
株価が下がっていないのは
どうしてだろうか。
日産自動車の損失計上の中身は?
日産自動車発表の損失額は
当初600億円を見込んでいたが、
300億円追加の損失。
合計で900億円の損失計上となり、
業績にも多大な影響を与える、
と誰もが思うはず。
120万台のリコール費用で
300億円を計上。
生産の遅れによる販売減少や
テレビCM等の広報費用でも
300億円を見込んでいた。
しかし、想定よりも販売減少が
大きかったため、さらに
追加300億円で、600億円の損失を計上。
全部で900億円。
決して小さい数字ではない。
ちなみに、前期の日産自動車の
純利益は、約6600億円。
純利益からみれば1.5割程度。
しかし、この金額の1.5割は
大きい。
900億円の損失なのに最高益を予定
日産自動車は、今期の業績を
過去最高益の約7000億円の
純利益で見込んでいる。
当初予定していなかった
無資格問題に関する損失を
考慮してもなお、過去最高を
見込んでいる。
実はこれには深いワケが。
原因は、トランプ大統領が
旗を振った、減税施策。
アメリカで、法人の税率が
下がるというニュースを覚えて
いるだろうか。
2018年から、アメリカ企業の
法人税率が35%から21%に
下げられる。
これだけの効果で、
日産自動車のアメリカ法人は
約2000億円が浮いたのだ。
こうして、日産自動車の
過去最高益は達成される
見込みとなっている。
株価の反応は?
日産自動車の株価は
下がっていない。
損失計上の額よりも
利益押上分が大きいので、
プラスマイナス0、という
感じだろうか。
昨年9月、無資格問題の
発覚で一時的に値を下げた。
当時で1,100円程度の株価だった。
そして、多少の上げ下げは
あったものの、現在は同様に
1,100円程度の株価だ。
しかし、よくよく見れば
日経平均は上がっている。
同業他社として、
トヨタ自動車とHONDA(本田技研工業)
の株価を見てみよう。
トヨタ自動車は、昨年9月は
6,000円程度の株価が、
現在では7,000円を越えている。
HONDAは、昨年9月の株価は3,000円
程度が、今は3,800円程度。
同業他社は1割〜2割の
株価上昇をみせている。
つまり、日産も本来なら
1割〜2割上がっていた、
と見るべきだろう。
それが、変わらずの株価。
株価下落と同意、といっても
いいだろう。
今後はどうなる?
日経平均が更に上昇すれば、
日産の株価も上昇するだろう。
逆に、日経平均が下落すれば
日産の株も下落するだろう。
まぁ、当たり前のことを
言っているだけだが・・・
ただ、ひとつ知っておきたいのは、
日産自動車株の人気の高さ。
この会社の株は、配当が高い。
年利で4%台後半。
つまり、株価が上がりもせず
下がりもしないで1年が経過
すれば、4%台後半の配当を
受け取ることが出来る。
1,100円の株価なので、仮に
100株、11万円で購入したとしよう。
現在の配当利回りは4.74%なので、
年間の配当が5,000円ほどもらえる。
株価が変動しなくても
それだけもらえるので、
やはり人気が高い。
株価が下がれば配当利回りも
高くなるので、余計に買われやすい。
下がりにくい株で、しかも
配当が高い人気株。
投資判断の一つとして、
配当利回りを覚えておこう。