基礎:その決算書、正しいですか?儲かってる風に見せる粉飾決算と行き過ぎケチケチ節税の逆粉飾決算。

決算とその目的

会社の決算発表で学習したように、
決算とは、1年間の会社の経営状況が分かる会社の家計簿を作ることでしたね。

あなたが経理や会計関係のお仕事をされているのなら、
おなじみの言葉ではないでしょうか。

今月、決算だから!とバタバタしていた友人を
ふと思い出します。

会社は、会社が決めた決算月から2ヶ月以内に、
決算書」という会社の家計簿を税務署に提出しなければいけません。

会社が決算書を税務署に提出する目的は、
ずばり!税金を納めることです。(泣

1年間の利益の金額に対して税金が発生するわけですが、
会社の場合は、法人税や住民税の税金がかかります。

会社が儲かるほど税金が重くのしかかる

あなたの勤めている会社が、
この1年で1億円の利益を出したとしましょう。

すごいです!来年もこの調子、
いや、倍になるよう祈ってます!

と言いたいところなんですが、
会社が払わなければならない税金は、
なんと!会社の利益の約40%!!!

約40%って4,000万円ですよ!4,000万円!!

とはいえ…。
納税は国民の義務ですし、会社も納税の義務があるわけで。

ここで朗報です。
今回の決算で、会社の利益がたくさん出そうだなという場合、
会社は、合法的に節税をすることができます。

次の1年間で必要になるだろうな、という
少し金額の大きなものを買って
今の決算の中に入れてしまうという方法です。

例えば、社内用のパソコンとかタブレットを数台とか、
社用車を買ったりとか…。

そうすれば、今回の決算の利益は少しでも減らすことができますからね。
大丈夫です、合法な節税ですから安心してください。

粉飾決算と逆粉飾決算

多くの会社は、合法的に節税対策をして決算報告をします。
ですが、時々決算の内容をごまかすという会社もあります。

儲かっていないのに儲かってる風に見せる粉飾決算をする会社と、
儲かっているのに儲かってない風に見せる逆粉飾決算をする会社です。

儲かってる風に見せる粉飾決算

時々ニュースで聞く言葉。粉飾決算(ふんしょくけっさん)。
わたしは、最近の東芝のニュースで聞くようになりました。(遅っ

粉飾決算というのは、儲かっていないのに
儲かってる風に決算書を作ってしまうことです。

会社が税金を支払わなければならないのは、
1年間の利益に対してでしたよね。

それなのに、どうして赤字を黒字って言っちゃうんでしょうか?
黒字となれば、当然税金がかかってくるんですよ?

ただでさえ赤字で利益が出てないのに、
儲かってる風に見せて税金をわざわざ払うって…。

どういうこと?
見栄っ張りなだけなんですかね?

儲かってないのに粉飾決算する理由

1番の理由は”他の役員や株主に怒られたくないから”です。(笑
子供かっ!と突っ込みたくなります。

特に、上場企業になると社長がよく入れ替わります。
自分が社長になったら儲からなくなりました、
って言いたくないだけなのです。

見栄を張らず、正直に赤字になりましたという
決算書を書いてしまうと、神様には褒められますが

他の役員や株主からは、この社長には経営能力がないと判断され、
あなた、社長を辞めなさい!と言われてしまいます。

社長は、苦労して上り詰めたトップの地位を守るため
わざわざ税金を払ってでも「儲かってる風」に立ち振る舞う必要があるということですね。

2番目の理由は”社外からの信用度が落ちること”です。(笑
赤字となれば、銀行から融資を受けることが難しくなりますし、
取引先だって手を引いてしまうかもしれません。

こういった理由から、税金を払ってまでも
「儲かってる風」に見せる粉飾決算をしてしまうのですね。

儲かっていない風に見せる逆粉飾決算

さて、会社の合法的な節税として、
翌年以降に使うであろう消耗品などを先に買っておいて
利益を減らす方法がありましたね。

しかし、これも度が過ぎると、本当は1億円の利益があるのに、
1,000万円の利益でした、というように
嘘の決算書を作る会社が出てきます。

これは、儲かってる風に見せる粉飾決算の逆なので、
逆粉飾決算と呼ばれています。

逆粉飾決算がバレたらどうなるの?

逆粉飾決算は、脱税という犯罪行為にあたります。

脱税は会社の所得隠しなので、これが税務署にバレると
追徴課税(ついちょうかぜい)命令が出ます。

嘘ついた罰として、いっぱい税金払いなさいという命令です。
とはいえ、悪質な所得隠しであってもお金を払えばそれで終わり、
という感じです。

マルサの女という映画では、所得隠しをしている会社を
とことん追い込むシーンが印象的でした。

壁の裏とかタイルの下とか、お金を隠す場所、
本当によく考えられたものでしたよね。

編集長より

粉飾決算の実例

粉飾決算をするための方法はたくさんあります。
今までも、年に数社程度の粉飾決算がバレています。

実際の例を挙げてみましょう。

山陽特殊製鋼事件

今から50年以上も前の話ですが、山陽特殊製鋼という
会社の粉飾決算で、大きな事件としてマスメディアに取り上げられた。

業績悪化により倒産するが、倒産をきっかけに
経営陣による70億円もの粉飾決算が明るみに出た。

元経営陣に逮捕者が出たり、会社への賠償金の
支払い命令が出されたりと、大きな波紋を呼ぶ事件となった。
※この会社は後に再建し、今では上場会社として経営されています

オリンパス事件

こちらは比較的最近の話(それでも2011年)ですが、
バブル崩壊期に出た巨額の損失を10年にもわたって
隠していたという事件。

バブル崩壊で多額の損失を出しましたが、決算上は
何もなかったかのように報告され、
実際の損失を埋めていくために
M&Aを活用し、少しずつ埋めていきました。

この事件の発覚は内部告発のようなもので、
新社長に就任したイギリス人社長が
粉飾であることを理由に元社長や当時の会長に
「辞めろ」と言ったことから始まりました。

これに対抗した経営陣は、取締役会で
イギリス人社長を解任します。実に半年程度の社長で終わりました。
この短すぎる社長交代劇がマスコミを刺激し、
数々の粉飾が暴かれていくことになりました。

粉飾決算は度々大きな事件として報道されます。
きっかけがないと発覚しにくいものです。

氷山の一角にすぎない・・・ということの無いように
祈るばかりですが、最近では東芝も不安視されていますよね。

「この企業、粉飾決算じゃないか?」と思ったら、
投資対象から外した方がよさそうです。

まとめ

さて、今回は粉飾決算と逆粉飾決算について学習しました。

粉飾決算は時々ニュースでも見かけますし、
編集長の言うように、投資対象から外すのがいいようですね。

嘘をついちゃいけないとみんな教わってきたはずなのに、
世の中悪いことをする人がいるものです…。

粉飾決算とは…
  1. 粉飾決算とは嘘の決算書を出すこと。
  2. 儲かってる風に見せる粉飾決算。
  3. 儲かってない風に見せる逆粉飾決算。
  4. 粉飾決算は、役員や株主への保身と対外的な信用キープが目的。
  5. 過去にもちょくちょく事件になっている。
 

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