「三菱重工、英国で洋上風力90基受注
世界最大出力の発電設備」
こんなニュースの見出し。
まぁ、すごいことなので
ニュースになっているのだが。
どのへんがどうすごいのか。
そもそも、今回のニュースの
中身を知ろう。
三菱重工という会社
正式名称は、
三菱重工業。
名前は耳にすることはある。
しかし、一般人が絡むような
会社ではない。
三菱と名前がついているので、
財閥系の企業であることは
想像できるだろう。
重工という言葉からは、
その名の通り重たいものを
作っている企業。
実に多くのものを作っているが、
例えば飛行機など。
ジャンボジェットとか呼ばれる
大きい飛行機なんかは、三菱重工
なんかが作っている。
それ以外にも、電車や新幹線、
軍艦やロケットなんかも作っている。
つい先日までは、北朝鮮とアメリカの
戦争懸念などがあり、戦争に突入すれば
この企業が儲かる、というひとつになっていた。
つまり、戦争銘柄のひとつでもある。
自衛隊なども、この会社にいろいろと
発注している。
売上は4兆円を超える程度で、
国内の軍需の受注は2,000億円程度。
まぁ、でっかい機械や輸送機を
作っている企業、と認識すればOK。
ちなみに、類似企業では
IHI(旧石川島播磨重工業)や
川崎重工などがある。
今回のニュース概要
三菱重工が受注、とあるが、
正式には三菱重工が50%を
出資する子会社が受注。
デンマークの企業と50%ずつ
出資して作った、合弁企業
というものだ。
ちょっと難しい話になるが、
出資比率が51%を超えれば
連結子会社となる。
50%では、正式には関係会社と
いう位置づけ。
しかし、実質的な支配が
認められれば、連結子会社と
して扱われることとなる。
つまり、三菱重工の業績に
反映する企業。
そんな子会社が受注した、
洋上風力発電設備。
あまり聞き慣れない設備だが、
風力発電設備という部分は
理解出来るだろう。
問題は、洋上という言葉。
これは、太平洋や大西洋などの
「洋」のこと。
つまり、海の上に建設される
風力発電設備。
風力発電の場合、風の強い場所に
設置することで発電力が上がる。
海の上は風が強く、発電効率が
良いとされている。
海の場合、海の底まで支柱を
建てて設置する場合もあれば、
底が深い場合は浮かせることもある。
詳細は不明だが、とにかく
海の上で風の力を使って
発電する設備を受注したということ。
これが、90基と聞けば
「すげーんじゃね?」と思う。
国内で建設される風力発電設備の
大まかな相場は、1基2〜3億円。
これよりも大型になるらしいので、
ちょっと多めに見積もって
1基10億円程度だろうか。
まぁ、仮に10億だとして計算すると、
90基で9,000億円。
三菱重工の年間の売上が4兆円程度
なので、年間売上の4分の1に相当する。
なので、今回の受注は大きいと
言っていいだろう。
おそらく、このニュースを受けて
明日の三菱重工の株価は
上昇すると思われる。
株価が上昇しても注意が必要
「じゃあ、買っておけばいいのか」
と思う方も多いだろうが、
ひとつ注意を。
大型の設備を受注する際に、
様々な問題が発生する。
工期が長い分、製造途中で
仕様変更などがあれば、その分の
新たな工数がかかり、原価があがる。
鉄などの材料を仕入れることに
なるが、鉄の相場が上がれば
原材料費が上がり、原価があがる。
さらに、不足の事故などがあれば
工期も伸び、決められた納期に
間に合わなければ、違約金なども発生する。
過去、三菱重工が受注した豪華客船は
1000億円の受注額に対して、かかった
総額が2374億円だった。
度重なる仕様変更や、不審火などで
当初想定していなかった損害は
次々に発生したためだ。
大型施工案件には、このようなことは
しばしば起こり得る。
ある程度の未知のリスクに対して
高めに受注するが、あまりに高いと
競合他社に持っていかれる。
競合他社にも負けず、それでいて
リスクも吸収出来るような額で
受注しているのだ。
そして、想定外のリスクが発生すれば
たちまち損失となってしまう。
今回の風力発電設備は、納期は3年後の
2021年に運転開始予定。
3年の工期は短い方なので、
そこまで大きなリスクではないかも
しれないが、とにかく大型案件には
注意しなければならない部分。